英ロイターは朝鮮半島情勢、具体的には3度目の核実験を強行した北朝鮮のこれからの出方と、新たにスタートする韓国の朴槿恵政権の方向性に焦点を合わせた分析をした。
政治的な情報よりも経済中心の情報に力点を置くロイターにしては珍しい分析といえる。
北朝鮮については、唯一影響力を持つ中国が有意義な行動を起こす可能性は依然として低いと突き放した見方を示した。その心は北朝鮮崩壊によって朝鮮半島が統一され、親米政権が発足することを恐れる中国にとっては、正恩体制を支援し続ける以外の選択肢はほとんどないことにある。
かたや韓国情勢については、韓国経済は過去に経験したような急成長軌道に回帰できる兆しはなく、国民は格差拡大や失業の恐怖に不満を強めていると、朴次期大統領が直面する課題は経済問題にあるとした。
日本の緩和的な金融政策が、韓国経済の将来成長に打撃を与える可能性が強まり、輸出依存型の韓国経済を直撃している現状から、この課題の克服が求められる。
この観点からロイターは①韓国の主要輸出先であるユーロ圏など欧米諸国における経済回復の兆し②円安基調の継続により、韓国がウォン切り下げに踏み切る可能性③2013年の韓国の政策金利とGDP・・・がポイントだと指摘している。
<[ソウル 18日 ロイター] 北朝鮮は国際社会の反対を押し切り、12日に3度目の核実験を強行した。「米国の敵対行為に対抗する目的」と北朝鮮が主張した今回の実験は、最大の支援国である中国からも非難を招く結果となった。
新たに最高指導者となった金正恩第1書記が改革を検討しているとのわずかな望みは事実上かき消され、父親である故金正日総書記のやり方をそのまま引き継いでいることが明らかになった。
国境を接する韓国では、北朝鮮の核実験に大半の国民は無関心で、せいぜい不満を示す程度だった。今月25日に就任する韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領にとって最大の懸念はむしろ、輸出主導の同国経済の低迷だ。2012年第4・四半期の国内総生産(GDP)伸び率は、7四半期連続で1%を下回った。
朝鮮半島情勢で注目すべき政治的リスクは以下の通り。
<北朝鮮:過去の手法への回帰か>
金正恩氏は昨年、洋服を着た夫人と共に音楽公演を観賞したり、ローラーコースターに乗る姿が伝えられた。驚きを持って受け止められると同時に、それまでの北朝鮮の挑発行為とは異なる道を正恩氏が選ぶのではないかという期待も高まった。しかし、核実験は強行され、正恩氏の行動は父親譲りだということが証明された。
通常の外交交渉が通用しない北朝鮮に対しては、国際社会からの非難は何の効果も挙げない。また、唯一影響力を持つ中国が有意義な行動を起こす可能性は依然として低い。
米軍がアジアへの軸足移行を進める中、北朝鮮崩壊によって朝鮮半島が統一され、親米政権が発足することを恐れる中国にとっては、正恩体制を支援し続ける以外の選択肢はほとんどないとみられている。
金第1書記の権力支配に対する脅威があるとすれば、それは内部から生じるものだろう。しかし深刻な問題が起きるのは軍部や一部のエリート層が脅威を感じた時で、「先軍主義」政策を掲げる第1書記による政治改革は遠いとみられる中、内部からの脅威が差し迫っていると示すものはない。
今後注目すべきポイントは以下の通り。
◎北朝鮮に対する新たな厳しい制裁の兆候
◎日米韓による対北朝鮮政策の一段の強硬化
◎可能性は低いが、中国が金第1書記にしびれを切らす可能性
<韓国:朴次期大統領が直面する課題>
軍出身の朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領を父親に持つ朴槿恵氏は、昨年12月の大統領選に勝利し、韓国初の女性大統領となる。同国経済は過去に経験したような急成長軌道に回帰できる兆しはなく、国民は格差拡大や失業の恐怖に不満を強めている。
ユーロ圏の財政危機や世界経済の鈍化は昨年、輸出依存型の韓国経済を直撃した。同国中銀は2回にわたり利下げを行い、政府は約12兆ドル(約1125兆円)相当の財政刺激策を実施した。
また、国民の間では、サムスン電子や現代自動車などの財閥系企業に対する不満も根強い。これらの財閥はGDPの半分以上に相当する資産を持っている。
同国中銀は今月14日、政策金利を4カ月連続で2.75%に据え置いた。また円安で韓国輸出セクターの競争力が損なわれかねないとして、日本の緩和的な金融政策が将来の成長に打撃を与える可能性を警告した。
円安によって日本製品が海外で相対的な競争力を高めることは、韓国の自動車メーカーや家電メーカーにとっては歓迎できないニュースとなる。
今後注目すべきポイントは以下の通り。
◎韓国の主要輸出先であるユーロ圏など欧米諸国における経済回復の兆し
◎円安基調の継続により、韓国がウォン切り下げに踏み切る可能性
◎2013年の韓国の政策金利とGDP (ロイター)>
杜父魚文庫
11788 核実験強行の北朝鮮、注目すべき政治的リスク 古澤襄
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