団派若手リーダーが毛沢東旧居と訪問し、礼賛と献花。新しい世代の台頭が目覚ましい中国の指導層のなかで、51歳の孫金龍は次期有力者のひとりと見なされている。孫金龍は1995年から2003年まで共青団書記。この春に湖南省副書記に抜擢された。
4月20日午前、この孫金龍が湖南省奥地にある毛沢東生家を訪問し、献花した。その際に「偉大なる毛沢東主席をこころから尊敬している。生涯を学習にささげ、農民の暮らし向きを豊かに導き、国民の心を一つにした」などと阿諛追従的な礼賛の言葉を繰り出した。
左派やイデオロギー的毛沢東派は主として「落ちこぼれ」、「負け組」に多く、かれらは別に本気で毛沢東万歳を言うのではなく、毛沢東の肖像を掲げているのは「毛沢東の時代は良かった。なぜなら皆が平等に貧乏だった」と懐古的共産主義理想を標榜しているにすぎない(拙著『2013年後期の中国を予想する』ワック参照)。
しかし、貧富の差が露骨に激しくなると、湖南省のような毛沢東出身地の経済後進地域を治めるにあたり孫金龍は「とりあえず神社参りでもしておこうか」という意味で訪問を演出したと考えられる。
さて一方、上海の「解放日報」は、共青団とは逆に胡耀邦を正面において評価し始め「没後24年、改革者胡耀邦を悼む」などと特集記事、人民日報系の環球時報も、同様な記事を小さく掲載している。
上海派にとって胡耀邦は天敵だった筈である。
それゆえに、この姿勢の転換演出も、共青団がいまなお尊敬する改革派リーダーの胡耀邦に対して、保守派からの妥協のシグナルではないのか。
江西省共青城市郊外にある胡耀邦御陵には、意外なリーダー対の献花行為が続いている。
杜父魚文庫
12403 錯乱か、意図的な政治的妥協の産物か 宮崎正弘
宮崎正弘
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