【ワシントン=青木伸行】米国防総省は8日、イラク北部でイスラム過激派「イスラム国」への限定的な空爆に踏み切ったと発表した。2011年の駐留米軍撤退後、イラクで初の本格的な軍事行動となる。
イラク北部シンジャールの山頂に、クルド民族の住民約4万人がイスラム国に追い詰められ、死者が出ているためで、イラク情勢は新たな局面を迎えた。
現地の住民約4万人には十分な食料や飲料水がなく、すでに40人の子供が、高温と脱水症状のために死亡したとされる。
このため、オバマ米大統領は7日朝、ホワイトハウスで安全保障担当補佐官らと対応を協議し、限定的な空爆と、人道支援物資を空中からの投下することを検討。この結果、米軍輸送機機による物資の投下を同日、開始し、戦闘機が護衛した。
アーネスト大統領報道官は、シンジャールの住民が置かれている状況を「イスラム国の攻撃による人道上の惨事」と批判した。同時に「武力によるイラク問題の解決はない」とし、地上軍は派遣しない方針を堅持していることを強調した。
今回空爆に踏み切ったのは、シンジャールで追い詰められた住民の保護を目的としており、やむを得ないと判断したためだ。他の都市にまで空爆の対象を広げるか不透明だ。(産経)
■米軍、イラク過激派空爆…移動式火砲に誘導弾
【ワシントン=井上陽子、カイロ=久保健一】米国防総省は8日朝(日本時間8日夜)、イラク北部の都市アルビル近郊で、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」の拠点に対し空爆を行ったと発表した。
2011年末にイラクから撤収した米国は、イラク情勢の混迷を受けて方針転換し、再び軍事介入に踏み切った。
国防総省によると、空爆は、イラク時間の8日午後1時45分(同午後7時45分)に行われ、米軍FA18戦闘機2機が「イスラム国」の移動式火砲に対し、複数のレーザー誘導爆弾を投下した。移動式火砲は、米国の総領事館があるアルビルを防衛するクルド部隊を砲撃していた。
オバマ米大統領は7日夜、ホワイトハウスで緊急声明を発表し、「米国民を守るため、必要なら限定的な空爆を行う」と表明、限定的な空爆実施を承認したと表明していた。空爆の開始は、この方針表明から12時間以内に始まったことになる。
イラクの民間テレビ局「ルダウ」は8日、同局記者の目撃情報として、米軍機が空爆した「イスラム国」の拠点は、アルビル近郊のグウェルとマハムールだったと伝えた。グウェルへの空爆では「イスラム国」戦闘員数百人が死傷したとしている。また、空爆を目撃した同局記者は、空爆は比較的小規模なものだったと語った。(読売)
■米国:空爆、大統領は戦線拡大否定 米軍顧問保護など主張
【ワシントン和田浩明】米国は8日、イラク北部で攻勢を強めるイスラム過激派組織「イスラム国」の前進を抑えるため限定空爆に踏み切った。前日の7日、オバマ米大統領はイラク北部で攻勢を強めるイスラム過激派組織「イスラム国」の前進を抑えるため、米軍の限定空爆実施を承認したと発表。旗印であり成果だった「イラク戦争終結」に反しかねない重大な方針転換だが、情勢の急速な悪化で2011年末の米軍撤退以来初となる実戦行動を指示した。
「最高司令官として、イラクでの戦いに米国が再び引きずり込まれることは許容しない」。限定空爆の承認を発表した際、オバマ氏は同時にこう発言し、地上部隊派遣はしない方針を改めて強調。発言からは軍事介入という「最も嫌な場所」(ニューヨーク・タイムズ紙)に足を踏み入れた苦渋がにじむ。イラク介入は不人気で、7月の世論調査でも「イラクの現状に米国に責任はない」との回答が過半数だった。
オバマ氏は6月にイラクへの軍事顧問派遣を発表した際、限定空爆実施の可能性には言及していた。だが、その後のイスラム国の勢力伸長を前にしても実施は認めなかった。「イラク戦争終結を唱え選ばれた」(オバマ氏)大統領としてのメンツから、介入に消極的であり続けた。空爆承認を決める直前の7日も国家安全保障会議を断続的に開催。深夜にようやく限定空爆方針を発表した。
今回の方針転換の理由として、オバマ氏は二つの理由を挙げた。第一は米国人の保護、第二は人道危機への対処だ。
イスラム国が接近するイラク北部のクルド人自治区の中心都市アルビルには、米軍顧問らが滞在する。オバマ氏はその保護は「大統領の責任」だと述べた。8日の空爆も、アルビルが「イスラム国」に攻撃されたことに対する、反撃として行われた。
米国ではリビアで12年に米外交官ら4人が武装勢力の襲撃を受け死亡した事件が政治問題化した。「外国での米人保護」を名目にした限定的空爆はイラク、アフガニスタン戦争に疲れた米国民にも受け入れられやすい。
人道危機とは、イスラム国が「ジェノサイド(大量殺人)」を図っているとされるクルド系少数派ヤジディー教徒の現状だ。北西部ニナワ県シンジャルの山岳部には数千人が逃げ込み、水や食糧不足で子供など多数の死亡も報告されている。オバマ氏は米軍が独自の能力を持つ以上、保護は「米国人としての責任だ」と主張した。(毎日)
杜父魚文庫
16819 米軍がイラク北部を空爆 米国防総省発表 古澤襄
未分類
コメント