1690 木をみて森をみない人 古沢襄

永田メール事件のことを思い出している。2006年の第164回通常国会のことだから記憶に生々しい。事件の概要は報道し尽くされたから詳しくは触れない。その処理に当たった民主党のやり方があまりにも稚拙で、傷を広げてしまった。
2006年2月16日の衆議院予算委員会で民主党の永田寿康議員が、証券取引法違反で起訴されたライブドア元社長の堀江貴文被告が、2005年8月26日付の社内電子メールで、自らの衆院選出馬に関して、「武部勤自民党幹事長の次男に対し、コンサルタント費用として3000万円の振込みを指示した」などと指摘。首相をはじめ与党幹部は即座にコメントを出し、この疑惑を否定した。
予算委員会では武部幹事長は国務大臣ではないため、国会の答弁席に立つことはなかった。この日の予算委員会では小泉純一郎内閣総理大臣も出席していなかったため、自民党総務局長として衆院選の候補者選考に携わった二階俊博経済産業大臣が主に答弁をしている。
2月18日、民主党はメールの写しを公表。しかし疑問点が続出し、証拠の信頼性が疑問視され、偽造の可能性も指摘された。武部幹事長らに対する名誉毀損で告訴を検討すると反撃されて窮地に陥る事態となった。
2月21日の会見で前原代表は翌22日の党首討論で新たな証拠を提示する旨の発言。
2月22日の党首討論では、前原誠司民主党代表は国政調査権の発動を担保に口座を明かすとしたが、小泉首相は拒否。前原代表は党首討論の前にマスコミに疑惑追及に期待を持たせる発言をしていたが、新たな証拠を開示できないことがマスメディアの批判の対象となった。
これら一連の行為が国民や有権者から反感を買い、民主党や永田寿康議員、及び前原誠司民主党代表への抗議の電話が殺到した。民主党は本来BSE問題、耐震強度偽装問題、ライブドア事件、防衛施設庁談合事件など多数の問題に対し自民党を追及する立場であったが、立場が入れ替わり逆に自民党から追及されることとなった。これにより民主党の支持率は低下した。
永田議員は2月19日からは公の場に一切姿を現さず雲隠れとも言われたが、2月23日になり民主党の鳩山由紀夫幹事長に辞職の意向を述べた。しかしながら鳩山幹事長の判断で心神喪失を理由に入院することとなり、辞職については保留となった。(ウイキペデイア)
小泉政権を揺さぶる筈が一転して防戦に追われることになってしまった。相手を攻撃することには慣れていても、自らを守る術を知らない野党の弱点をさらけだした典型的な事件である。
類似した事件としては1983年に衆議院予算委員会で当時の衆議院議員楢崎弥之助が喧伝した自衛隊クーデター計画問題がある。ところが楢崎に情報提供した自称自衛官は自衛官ではなく、詐欺で当時全国に指名手配されていた人物であった。自衛隊クーデター計画自体が存在していないことが判明。楢崎は国会を混乱させたとして新聞に謝罪広告を掲載し、この影響で同年の総選挙で落選した。
一連の事件で共通しているのは、一点集中主義で攻撃していても、攻撃が破綻した時のもろさにある。つまりは”木をみて森をみない”から総崩れになる。敗退をこ塗するために小細工するから傷を広げる。
年度末決戦で民主党は勢いづいているが、自民党が土俵を四月まで広げることにしたらどうなるか。福田首相はガソリン代の値下げに伴う一時的な混乱よりも地方自治体の歳入欠陥を避けることで国民の理解を求めるだろう。
四月に衆院で三分の二議決をする方針転換をすれば、残るのは三月にほとんど審議拒否をした民主党の姿だけとなる。まさに木をみて森をみていない。
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