貿易の現場ではすでにモノの動きが急停滞している。実体経済は株式の暴落より悪い数字。輸出入の海運状況に異変。
鉄鉱石や石炭、穀物を運ぶばら積み船(バージ船)の運賃をインデックスであらわす国際指標を「バルチック海運指数」(BDI、1985年平均=1000)という。
この指数が突然、急落を繰りかえしている。
ちなみに10月18日に2764。これは2006年6月以来、2年4カ月ぶりの低水準で、08年5月の高値(12000以上だった)から株価暴落の比率より悪く、80%も下がっている。
わかりやすく言えば一隻100万円のチャーター料金が、25万円ということで、或る海運会社の役員に聞くと「つい春先まで20万ドルだった巨大バージ船の雇用船料が、一万ドル。驚愕の値段です」と唸った。
ずばり物資が動いていない。とくに鉄鉱石輸入で市況を牽引してきた中国が主因である。
第一に北京五輪直前までの膨らんだ風船のような需要の揺れ返し、中国の個人消費ブームは五輪前にやんでいたが。
第二は世界景気の悪化によって、嘗て世界の工場だった中国における生産に異変、注文がとまって工場閉鎖、失業は2000万人を越えて治安悪化が伝えられている。
夏からは米国のクリスマス商戦が始まりクリスマスツリーや人形など、玩具に使う塩化ビニール樹脂は、まったく商談がストップしている。
石油製品の福次的プロダクトはすでに値下がりしている。例えば、ポリプロピレン樹脂価格は1トン1330ドル(中心値)とピーク時(7月)の35%安。
海運業界全体はバラ色だった絶頂をすぎ、九月から真っ黒な悲観で覆われ、このペシミスティックな変動波が造船業界への注目にあらわれる。
燃費アップで青息吐息は航空産業ばかりではなかった。海運から造船業界にも世界的規模の暗雲が広がっているのである。
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2422 海運・造船業界にも暗雲が 宮崎正弘
宮崎正弘
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