「汚職政治」と「麻薬経済」:ガンと密輸と山賊のアフガニスタン。マクリスタル司令官が治安部隊と警察の増員による回復プランは絵に描いた餅。
アフガニスタン駐在米軍のマクリスタル司令官はNATO司令官を兼務する。かれが描くアフガニスタン人自身の治安部隊と警察の増員による回復プランは絵に描いた餅に終わりそうである。
オバマ政権はマサチューセッツ州上院議員補選で共和党に敗北した衝撃から立ち直れず、国民皆保険的な保険制度改革は議会での成立が困難となった。その腹いせか、ベン・バーナンキFRB議長を更迭しようという民主党の動きに同調の気配である。
こんな条件下で、はたして約束したアフガニスタンへの三万増派は可能なのか。
09年12月1日にウエストポイントで演説したオバマは、三万増派を発表したが、もとより現地のマクリスタル司令官が要求していたのは四万である。不足の一万はNATOを拝み倒し、ほぼ7000名ほどの協力を得られる見通しとなった。
こんなおりに鳩山政権はインド洋給油協力から逃げたので、欧米の対日不信感は増大した。
オバマ大統領は2010年末までに三万増派を謳いながら、一方で2011年7月からアフガニスタン撤退を開始すると矛盾したことを言った。
両立が可能かどうかは、アフガニスタン人自身の治安部隊と警察の増員ならびに訓練にかかっているのは明白だろう。
アフガニスタン治安部隊は年末までに134000名に充足し、2011年の米欧軍撤退時期までに171000名とすることが盛り込まれている。
▲増員される軍人と警官の給与をだれか計算していたのだろうか
希望的観測だが、もし実現されるとするとアフガニスタン軍の兵士に支払われている給与165ドル、危険手当75ドル。合計240ドル x 171000名=4080万ドル(現在の月給を基礎に計算)。年間で4億8960万ドルになる。
くわえてアフガニスタン自身による警官をいまの94000名から134000名へ。同様に軍と給与を同じとして計算すると3216万ドル! これも年間で3億8592万ドル。
つまり軍隊と警察あわせて給与ベースだけで、8億7552万ドル。これに施設費、訓練費、装備費など、おそらく同額。誰が支払うのだろう?
カルザイ大統領によれば、この予算は当然ながら「外国の支援でまかなう」としており、アフガニスタンだけの歳入で、警察と軍の予算をまかなえるには2040年頃だろう、とのほほんとして演説をして欧米がびっくり。
日本にしてもアフガニスタン警官の給与の半分の面倒を見ている。ほかはサウジ、UAE、クエートなどに集る心づもり。
「汚職政治」と「麻薬経済」という不治の病をかかえるアフガニスタンは武装する部族と密輸業者という凶暴な山賊との闘いである。
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(読者の声1)中国統計について或る専門化にお話を伺うと中国の統計は、
1 統計の専門官が非常に少なく、考えられないほど杜撰である
2 地方政府は、自分達の成績になるので水増しした数字をだしてくる
3 例えば、普通の国は付加価値でGDPとかを計算するが、中国では売り上げとかで計算しているケースが多いので二重、三重にカウントされるなど、とても当てにならないとおっしゃっていました。10%成長を国全体でしているとはとても思えないのですが・・・。(天地人)
(宮崎正弘のコメント)はい、あれは「巧緻に満ちた創作数字」です。在庫もGDP統計に算入していました。つまり不良債権がGDPに計算されていた時期もあるのです。
十年前にピッツバーグ大学の著名な先生が、それ以前の過去二十年の平均成長7%-10%を疑念に思って、中国の全ての他の経済数字(たとえば電力消費量、コンテナ取り扱い量など)を調べ直して、総合比較し、「あれは嘘、だいたいのところ中国のGDP成長率の平均は3-4%だろう」と結論しました。
激怒した中国は、この先生を「ごろつき教授」と口を極めて罵っていました。
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4855 「汚職政治」と「麻薬経済」の不治の病をかかえるアフガン 宮崎正弘
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