文藝春秋の二月特別号が面白い。「参院議長 菅・仙谷には国を任せられない 西岡武夫」は雑誌の発売前から話題になっていたが、「保守本流の女帝 辻トシ子九十二歳がみた永田町」も読ませる。また「アーミテージ・ナイ 共に中国と戦う用意がある」も一読の必要がある。
辻トシ子さんにお会いしたのは昭和三十四年、日本で初めて副総理秘書官になった頃である。岸内閣の末期、この人が吉田茂、佐藤栄作、池田勇人の信頼が厚い保守本流の女帝になるとは想像もしなかった。あれから五十二年間、政界の裏舞台のことは辻さんから教えられたことが多い。
とくに骨髄腫に罹って、滅多に東京に行けなくなった私だが、この八年間、「病気はどう?元気なの」と時折、電話を頂いて節目の政界情報をさりげなく教えて頂いている。面倒見のいい女帝だから、隠れた辻フアンが政財界と官界に多くいる。二月二日に辻さんを囲むパーテイがあるが、病躯を引きずってでも駆けつけるつもりでいる。
政局は仙谷抜きの菅・岡田体制で走り出す気配だが、小沢一郎氏に対する辻さんの評価は厳しい。小沢氏は昭和四十四年の総選挙で初当選したが、政界のイロハも知らない小沢氏ら一年生議員を辻学校で教えていた。羽田元首相、加藤紘一氏らも辻学校の卒業生。
<<政治家は一軒の家と同じなのよ。風呂場の係だとか、裏口の役目をする人だとか、それぞれに役割分担があったのよ。綺麗なことを言える人は玄関に回るとかね。>>
<<この前に幹事長をなんかやっていた国会で評判の悪い人だって、裏口をやらせたら日本一だったかもしれない。ああいう小者は裏口に使うのよ。それがいつの間にか、玄関の係になっちゃたから、へんなことになって。>>
<<何が現在の政治を悪くしたかといって、政治家がちゃんとした教育を受けていないことがひとつ。さらに、七十過ぎたら引退しなきゃいけないなんて変なルールを作ってくれたこと。昔の大久保彦左衛門なんか見てごらんなさい。八十歳で死ぬまで矍鑠(かくしゃく)としていました。>>
<<役人を蔑ろにする政治も良くないわよ。役人を使いこなせず小馬鹿にして叩きのめすだけ。あれはいけません。>>
九十二歳になって、なお現役。毎日、虎ノ門の事務所で政財界、官界の客と会う美貌の女帝だから、政界情報の深さは、そんじょそこらの駆け出し記者とは違う。人脈の広さは女優の藤村志保さん、元巨人軍の王貞治氏など熱心な辻フアンに囲まれている。
でも最近の世相について「今うんざりしているのよ。百歳まで生きるってみんなに言われて、お元気ですからとか、記憶力が強いとか言われるんだけど、もう世の中、情けないことばっかりでしょ。このまま生きながらえたってねえ」。
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7016 保守本流の女帝がみた永田町 古沢襄
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