11948 章泌生 人民解放軍を国軍化せよ   宮崎正弘

人民解放軍を国軍化せよと訴えた章泌生(副総参謀長)が「復活」。胡錦濤の逆鱗に触れたと報じられたが、停職処分は嘘だったのか?
全人代で俄然注目は成龍と莫言である。
のっぽのスポーツ選手にも人民公会堂前を歩くと、テレビカメラが集中し、全人代会場前にカメラを構えるマスコミは、数百ほどいる。駆け寄って転ぶカメラクルーもいる。成龍とはジャッキー・チェンのこと、莫言は昨秋ノーベル文学賞を受賞した作家。
しかし国内向けのテレビニュースが、この話題の二人をアップするのは理由がある。全人代がいかに「民主的」で「開かれた会議」であるかのイメージ作戦に、こうした有名人が政治利用されているだけである。
しずかに注目を集めた軍人がいる。章泌生陸軍大将。副総参謀長である。
昨年三月、章泌生の失脚説が流れた。人民解放軍の「国軍化」議論はタブーだが、章は敢えて挑んだため軍首脳から睨まれ、「停職」処分を受けたと報じられたのだ。
しかも昨夏、宴会で泥酔した上、同僚や上司に絡み、酒癖が悪いと胡錦濤が直接、叱責したなどという報道が香港「文ワイ報」などから流れ出した。
おりから薄煕来の失脚で北京の奥の院が揉めにもめ、あらゆる情報が権力闘争と搦めて囁かれた。
章泌生は陸軍大将、総参謀部副長。つまり総参謀部のナンバー・ツー。1948年山西省生まれ、国防大学教育長を経て、2004年に総参謀長助理、06年中将を拝命し、副総参謀長となった。07年中央委員、10年、大将を拝命し、次期軍事委員会入りは最有力とされた。
章泌生は胡錦濤に近いため解放軍のなかで団派を代表するライジング・スターだった。
かれは国防大学教育長を務めた頃から「戦略意思」を重視し、軍の内部改革を提唱した。「現代の戦争は理論と訓練であり、装備の近代化だけではない」とし、また2005年のロシアとの軍事合同演習の指揮をとった。
2012年3月から香港情報として複数回、章泌生の停職説が流され、明らかに停職処分となった等と言われた。最大の理由付けは「国軍化」議論の音頭をとったからというものだった。
病気説も流れた。同年11月の党大会では中央委員から外されていた。このため事実上の失脚の噂がしきりだった。
ところが2013年二月、章泌生は全人代代表にトップ当選していた。
2013年3月5日、全人代に現れた葛振峰(元副総参謀長)は、「それらのデマは嘘だ。風説に過ぎず、日常廟務に支障はない」と質問に答えた。
そして章泌生は全人代財経委員副主任として登壇し、従来の多くの風説は吹き飛んだ。しかしテレビカメラは、この重要人物の跡を追わなかった。

杜父魚文庫

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