■偽紙幣を燃やして、死者をおくるのも中国人の拝金主義信仰。留まるところを知らない無秩序と身勝手なセンスがなぜ中国人の体質となったか
<近藤大介『中国人の常識は世界の非常識』(KKベストセラーズ)>
抱腹絶倒、やがて哀しき中国人の実生活における立ち居振る舞い、その行動力の源泉を目撃すると、中国人というのは、日本人からは想像もできない宇宙人、異次元の生き物である。
とてもとても日本人には理解できる筈がない。
評者(宮崎)はよく講演の枕につかうのだが、「中国人とは生まれてから死ぬまで嘘をつく、それはそうしないと生存競争に勝てないからである」と。
しかしなぜ、日本人と中国人はこれほど違うのかと近藤氏は、実話、経験談を豊富に用いながら、淡々とユーモラスに、しかも中国人の生態、その生活力、処世術がじわりと伝わる仕掛けの文体で読者に問いかける。いやはや、もう一度書くが本書は或る意味で、「中国人 抱腹絶倒物語」である。
読みながら、本書は中国とビジネスする人には必携、これから中国へ赴任する人には教科書。そして中国に興味がある人も必読の書であると思った。
実際に近藤さんは北京で合計五年、しかも北京語が流ちょうで、日本人駐在員が住む界隈を避けて中国人だけが暮らすアパートで生活した人である。
評者も、ついでいえば、近藤さんが北京滞在中は、何回か会ったし、珍しい店、珍味の店に連れて行って貰ったこともあるので、朝起きてから寝るまで、中国人とつきあい、かれらと交渉し、ときに呆れ、ときに絶望しつつも、彼らとのネゴシエーションのコツを徐々に身につけたという近藤さんの履歴にも興味がある。
それさえ会得すれば、じつは中国人とのつきあいが愉しくなる。かれらはカネのほかは、この世に興味のある物はなく、女はどんなに醜男であれ、権力と金があれば愛人になりたがり、そのためにこそ肉体と美貌を磨くのである。
日本企業は採用条件に日本語に堪能であることを掲げる。だから失敗の連続となる。その失敗例もごまんと紹介されている。
134pにこういう記述を見つけた。「中国ではいまも春の『清明節(彼岸)』と秋の『中秋節』(旧盆)には『掃墓』と言って先祖の墓参りをする。
日本の墓参りの原型だが、日本と異なるのは、必ず『紙銭』(紙の偽札)を燃やして、『ご先祖様が来世で金持ちになれますように』と祈ることだ。偽札を燃やしながら、必至になって祈っている様は、まさにカネ教の信者である」
評者(宮崎)も、この光景はなんどか現地で目撃してきたが、いまも普遍的で、しかも若い人も参加している。
町の文具屋、葬儀屋、屋台村などへ行くと、この偽札が大量に売られている。「閻魔銀行」という札束のデザインが多く、通貨単位は表記しないで、単に1000000000とかの数字がならび、大方はピンクか朱色。土産に買ってきたこともあるが、10センチくらいの札束で1000円ほどだった。
中国人の年賀状は「賀正」「謹賀新年」ではなく「恭喜発財」と書く。
「儲けましょう」『金持ちになりましょう』という意味である。広東では「おはよう」の替わりに「恭喜発財」と挨拶するのが日常の風景である。
ともかく本書は中国とビジネスする人も、中国人の友人を持つ人も一度は読んでおいたほうが良いほど内容も濃い本である。
杜父魚文庫
15106 書評『中国人の常識は世界の非常識』 宮崎正弘
宮崎正弘
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