15781 習近平、つぎのターゲットは李鵬一族か   宮崎正弘

■周永康ら石油派300名が失脚。徐才厚は無力化。ならば次の敵は電力派だ
中国でもっとも評判の悪い政治家のひとりが李鵬である。
周恩来の養子として、能力とは無関係に異例の出世を遂げた李鵬は天安門事件当時、国務院総理(首相)だった。学生から「李鵬下台」(李鵬やめろ)とシュプレヒコールの嵐に遭遇したが、どっこい狡猾に生き延びた。
そればかりか首相のあと、全人代常任委員長(国会議長)をつとめて引退した。批判はその後、息子と娘の異常な出世に集中し、李鵬家族がやり玉にあがった。長男が山西省省長。長女は水力発電国営企業の董事長(CEO).水力発電利権を掌握し、守旧派に君臨してきた。
2013年に薄煕来退治を終えた習近平は、薄の朋友で石油派の総元締め周永康をじわじわと追い詰め、ついに一族を最終コーナーへ。石油派の重鎮、取り巻き、金庫番、用心棒、その片割れのマフィアのボスなど一斉に拘束し、およそ300名の幹部が失脚した。のこるは周の正式な逮捕と起訴である。
リークされた情報では周一派がくすねたカネは一兆数千億円に上るとされる。その前の鉄道部一網打尽劇でも、江沢民派だった鉄道部長の劉志軍らを追い詰めたが、弐兆円近いカネが横領されていた。
周永康は「油老虎」というあだ名が冠せられた。
中国共産党中央規律委員会は反腐敗キャンペーンの次なる目標を李鵬一族に当てたらしい(多維新聞、2014年4月2日)。
ちなみに李鵬につけられた渾名は「死老虎」。すでに86歳、事実上の政治生命はないが、子供たちが腐敗、贅沢三昧の生活を送っており、批判はこれら「小虎」に集中している。
すでに3月24日、三峡ダム集団公司の董事長(会長)だった曹広昌と総経理(社長)の陳飛のふたりが解任され、同社の腐敗にメスが入った。三峡ダム集団は17の企業グループでダムの発電・送電ビジネスを独占してきた。
投下された費用は5000億元。工事のみならず付帯設備、維持管理費用一式を差配し、工員だけで二万名というマンモス。もともと三峡ダム建設は強引に李鵬が推進したが、全人代で30%ちかい反対票がでた異例のプロジェクトである。
着工以来、考えられないスキャンダルがつづき、末端では立ち退き住民三十万の幽霊戸籍がでっち上げられたため45億元が行方不明、当時の高官数名が謎の失踪を遂げたが、海外逃亡をはかったという。
李鵬家族は電力人脈に強い影響力を持つ李鵬の立場を背景に、電力利権に執着し、息子の李子鵬もながらく華能電力集団を率いて香港とNY市場に株式を上場するなどの勢いがあった。しかし芳しくない噂ばかり立って、2008年、政治家へ転身し山西省副省長から第十八期以後は省長へ。しかし山西省は石炭火力発電のメッカ、石炭ビジネスの本場でもあり、電力企業との癒着は続いているといわれる。
長女の李小琳は、もっと評判が悪い。中国電力董事長、中国新能源董事長、マカオ電力取締役、中国電力企業連合会常務理事と、その華麗な肩書きを観ても、彼女が中国の電力業界を押さえている事実が鮮明に浮かぶ。
すでに反腐敗キャンペーンの大元、王岐山チームは李鵬人脈の脇役、副官クラスの取り調べを開始しており、それも四川省の発電関係で周永康関連の調査名目で拘束をつづけてきた。
取り調べの対象は一千名を超える規模で、ここまで追い込んできた過程をみれば、最後に大物「死老虎」の退治へ向かわなければ国民は納得しないだろうし、中途半端な捜査で幕引きとなればおおいに失望するだろう。
いまや習近平は対外危機を煽り、日本にすべての悪をおっかぶせて難局をすり抜けようと躍起でもあるが、中国の庶民は日本の過去のことより目の前の腐敗分子退治にしか興味はないとみてよい。
杜父魚文庫

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