19980 米イージス艦 中国が領海主張の海域を航行   古沢襄

中国が南シナ海で人工島を造成している問題で、これに反対しているアメリカ政府は27日午前、中国が領海だと主張している人工島から12海里以内の海域でアメリカ軍のイージス艦を航行させ、今後、米中間の緊張が高まることが予想されます。

日米外交筋によりますと、南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島で中国が浅瀬を埋め立てて人工島を造成していることに対し、アメリカ政府はアメリカ軍の艦艇を人工島から12海里=22キロの海域の中に派遣することを決め、27日午前、アメリカ軍のイージス艦「ラッセン」がこの海域を航行したということです。

12海里は沿岸国の領海と認められる範囲で、中国政府は人工島の造成により主権の主張を強めていますが、アメリカ政府は人工島は領海の基点にならないとしてこれを認めていません。

さらにアメリカ政府は、人工島の軍事拠点化が進めば地域の安全保障を不安定化させるとして、中国側に再三、すべての作業をやめるよう求めてきました。

しかし、中国は滑走路などの建設を強行し、先月の米中首脳会談でも基本的な姿勢に変化が見られなかったことから、アメリカとしては中国の主張を認めないことをより明確に示す必要があるとして、今回の派遣に踏み切ったとみられています。

アメリカ政府は今のところ公式には今回の派遣の確認を避けていますが、中国側はこれまで主権の侵害に当たるとして強く反発しており、今後、米中間の緊張が高まることが予想されます。

■中国の人工島造成の現状は

中国が人工島を造成する南沙(スプラトリー)諸島は南シナ海の南の海域に位置するおよそ200の島や岩礁、浅瀬からなる島しょ群で、中国のほかにフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾が領有権を主張しています。このうちブルネイ以外の5つの国と地域がそれぞれ一部の島や浅瀬を実効支配しており、中国は自国の実効支配下にある7つの浅瀬を埋め立て、人工島を造成しています。

アメリカ国防総省などによりますと、中国はおととし12月にジョンソン礁で埋め立てを開始したとみられ、その後、去年夏ごろまでにガベン礁、クアテロン礁、ヒュージ礁、ファイアリークロス礁、スビ礁で埋め立てに着手、さらにことしに入りミスチーフ礁でも作業が確認されるなど、急速にその規模を拡大させました。

その結果、アメリカのシンクタンク、CSISの分析では、埋め立てた面積は7つの人工島で合わせて12.82平方キロメートルに及んでいます。

人工島ではインフラの整備や建設作業が続いており、大型船舶も停泊できる大規模な港湾施設のほか、コンクリート建築のビルなどの大型施設、さらにレーダー用とみられる施設の整備などが確認されています。さらに、ファイアリークロス礁では戦略爆撃機も離着陸できる3000メートル級の滑走路がほぼ完成し、CSISではすぐに運用できる段階にあると分析しています。これに加えて最近、スビ礁とミスチーフ礁でも同様の規模の滑走路を建設する動きが確認され、アメリカ太平洋軍のハリス司令官は、最新鋭の戦闘機やミサイル施設などが配備されれば南シナ海全域を実効支配することも可能になりうるとして強い警戒感を示していました。

これについて中国側は、埋め立ては国防上の必要性と民間の需要を満たすためのものだなどと説明する一方、習近平国家主席は先月、ワシントンでオバマ大統領と会談した際、軍事拠点化するつもりはないという考えを明らかにしたため、アメリカ政府はその後の中国側の動向を注視していました。(NHK)

■米海軍、イージス艦「ラッセン」を南シナ海・人工島12カイリ内に派遣 中国は猛反発「軽挙妄動すべきでない」

【ワシントン=青木伸行】米国防当局者は26日(米東部時間)、米海軍が横須賀基地所属のイージス駆逐艦「ラッセン」を、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で中国が建設している人工島の12カイリ(約22キロ)内に26日夜(日本時間27日午前)、派遣したことを明らかにした。複数の米メディアなどが報じた。中国は強く反発しており、緊張が高まることは必至だ。

12カイリ内への派遣は「航行の自由作戦」と名付けられ、米CNNテレビによると、当局者は作戦が完了したとしている。ラッセンの哨戒行動は、日米関係筋も確認した。

ロイター通信は、哨戒機P8AとP3が同行した可能性にも言及しており、そうであれば12カイリ内の上空での飛行活動も実施されたことになる。

ラッセンなどの派遣先は、滑走路の建設が進むスービ(渚碧)礁とミスチーフ(美済)礁としている。

国防総省によると、中国が実効支配する岩礁の12カイリ内における米軍の活動は、2012年以来。人工島の造成後は初めてで、12カイリ内での航行は、人工島と周辺海域を中国の「領土、領海」とは認めないという米国の姿勢を示威行動で示し、強く牽制(けんせい)するものだ。

 
これに先立ち国防総省のデービス報道部長は26日の記者会見で、「海洋権益を過度に主張する国(中国)に対抗する」と強調し、スプラトリー諸島周辺海域での米軍の活動について、中国へ通告する義務はないとの認識を示していた。

カーター国防長官もこれまでに「米軍は航行の自由を確保するため、世界のあらゆる場所で活動し、南シナ海も例外ではない」と、派遣をためらわない考えを示していた。

国防総省は5月ごろから12カイリ内での航行を検討しオバマ大統領に進言。オバマ氏は自制してきたが、今月に入り承認し、中国を除く関係各国に派遣方針を伝達していた。(産経)

 
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