224 安倍訪中を薄氷を踏む思いで・・・ 古沢襄

香港のテレビ番組で「時事辨論会」というのがある。これが中国の世論を代表しているとは思わないが、香港の土地柄を反映して、共産主義国家としては比較的、自由に発言している点が面白い。
そこで安倍首相の訪中問題が討論されていた。北京の佐藤公使も番組に加わっていた。司会者は安倍訪中を前向きにとらえようとしていたが、①公式な靖国参拝をやらないと明言しない安倍首相を北京に招く時期ではない②小泉前首相よりも右寄りの首相・・・といった反対論がでていた。
「中国は過去の戦争被害の謝罪を求めているのではない。ただ靖国参拝を(首相が)しないでくれと言っているだけだ」という発言もあった。佐藤公使は「中国と日本というアジアの二つの大国の首相が会えないでいる状態は正常といえない。意見の違いを乗り越えて日本の首相が交代したこの時期を前向きにとらえるべきだ」と堪能な中国語で言っていた。だが司会者以外は安倍首相の訪中に反対論。
北京から産経新聞の伊藤正特派員が次のように伝えてきた。伊藤正氏は共同通信社の外信部記者。北京特派員として活躍したチャイナ・ウオッチャーとして定評があったが、産経新聞に移ってからも的確な記事を送ってきている。
【北京=伊藤正】中国政府に近い日中関係筋は1日、日中両国は、安倍晋三首相が7日から北京を訪問し、胡錦濤国家主席ら中国首脳と会談することで調整していると語った。8日に胡主席や温家宝首相と会談し、9日朝に韓国訪問に向かう日程で調整中という。
日本の首相の訪中は2001年10月の小泉純一郎前首相以来5年ぶり。小泉氏の靖国神社参拝に中国が反発、第三国における日中首脳会談も昨年4月のジャカルタ会談以来途絶している。
同筋によると、安倍首相の訪中は先月、東京で行われた日中外務次官による「総合政策対話」で話し合われたが、靖国問題での首相の「あいまい戦術」に中国側は不満を表明。ところが日本側の訪中申し入れに対し、中国は先月末、無条件で受諾回答したという。
中国は上海市の陳良宇書記(政治局員)解任という政治変動の余波が続く中、8日から共産党中央委員会総会(6中総会)を開く。来年の党大会に向けた重要会議だが、その初日に安倍首相と首脳会談を行うのは、胡錦濤政権が日本の政権交代を対日政策転換の好機とみている表れだ。
この特派員記事に次のおまけがついている。
<日本政府筋は1日夜、安倍首相が8日に胡主席と会談するとの情報について、「決まっていない。そうはならないだろう」と否定した>・・・もっとも安倍首相は公明党の太田代表に対して八日の北京訪問で調整していることを明らかにしたのだがら、ここでいう”日本政府筋”とは何のことだろう?「そうはならないだろう」とは穏やかでない。
毎日新聞は「中国とは自民党の中川秀直幹事長らが水面下で交渉を続けてきた」と伝えている。十月二十二日の衆院神奈川16区と大阪9区の統一補欠選挙を睨んだ安倍訪中・訪韓という政治的な思惑も漂う。”時期尚早”という言葉もある。薄氷を踏む思いで見つめるしかない。

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