718 パリで「日本の文化人宣言」 丸山公紀

去る6月12日に、パリ在住の竹本忠雄先生(筑波大学名誉教授、日本会議国際広報委員会座長)が中心となって、ヨーロッパの歴史家と連携し、政治によって歴史の解釈が固定され、学問の自由が侵害されている現状を拒否して、全関係論文を検討し証拠資料を比較する自由の権利を行使することを高らかに宣言、フランスの全主要メディア、諸組織宛てに発信されたという。[和訳を末尾添付]
これはいわば、パリで日本文化人の良心に基づいて、学問の自由と政治によって歴史が歪曲されてきた現状を打破する主体性の独立宣言といって過言ではない。
とくに、日本の場合には慰安婦問題やいわゆる「南京事件」について、勝者が作った物語を推しつけられ、歴史認識といえば一方的に自虐史観を持てば事足りた発想が学界をはじめとする文化人の歴史の真実探求の目を摘み取ってきたこと自体が、わが国の誇りを毀損してきた。
本来、社会をリードし、歴史認識をリードすべき文化人が宗教、ドグマ、欧米のメディアによって翻弄されてきたことを警鐘乱打し、真実探求の姿勢を取り戻すことが、学問の自由を勝ち取ることにもつながることを力強く宣言したものであった。
これほど、明確にわが国の文化人が態度を示したことはなかったのではなかろうか。その意味では画期的な宣言である。
小生には、パリからの発信が実は日本に向けたメッセージであるように思えてならない
日本の文化人宣言(原文仏文よりの訳)
我々、日本の歴史家ならびに文化人は、2005年12月12日のフランス人歴史家の《歴史に自由を》宣言、並びに2006年1月25日のベルギー人歴史家の《記憶の洪水――国家が歴史に容喙するとき》宣言を承けて、歴史に関する全ての論文の校合および証拠資料の研究へ
の自由を要請する。
我々は、今年逝去されたフランスの碩学、ルネ・レモン氏の高唱のもと 700人知名士の賛同署名を得た《歴史は宗教にあらず。歴史家は如何なる ドグマをも容れず、如何なる禁令、タブーにも従わず。歴史家は邪魔者たることあるべし》との表明に全面賛同する。
我々は、日本軍の南京入城70周年にあたる本年、西暦2007年に、本宣言を発する。その理由は、いわゆる南京事件なるものが、ことに欧米のメディアにおいて日本の現代史を扱う上で最も非客観的なる典型を示しているからにほかならない。
勝者によって書かれた歴史は必ずしも真実の歴史ではない。我々が要求するものは、この歴史的真実追求の権利である。すなわち、全関係論文を検討し証拠資料を比較する自由への権利である。政治・イデオロギー的歴史観にもとづいて我が民族を恒常的に貶め、悪
魔化する行為に対して、断固、我々はこれを拒否する。 真実追究を欲するあらゆる人士とともに速やかに科学的比較研究を共にすることを、我々は切望してやまない。
パリ、2007年6月12日
                   日本側事務局 : iec@mj.scn-net.ne.jp
                   パリ連絡先 : Mr. Michel Humbert
賛同署名者(アルファベット順)
青木英実(中村学園大教授)/新井弘一(元東独大使)/荒木和博(拓殖大学教授・特定失踪者問題調査会代表)/遠藤浩一(評論家・拓殖大学教授)/藤井厳喜(拓殖大学客員教授)/藤岡信勝(拓殖大学教授・新しい歴史教科書をつくる会会長)/福田逸(現代演劇協会理事長・明治大学教授)/萩野貞樹(国語学者)/花岡信昭(ジャーナリスト)/長谷川三千子(埼玉大学教授)/東中野修道(亜細亜大学教授・日本「南京」学会会長)/平松茂雄(元防衛庁防衛研究所研究室長)/細江英公(写真家)/井尻千男(拓殖大学日本文化研究所所長)/入江隆則(明治大学名誉教授)/神谷不二(慶應義塾大学名誉教授)/神谷満雄(鈴木正三研究会会長)/加瀬英明(外交評論家)/片岡鉄哉(元スタンフォード大学フーバー研究所研究員)/勝岡寛次(明星大学戦後教育史研究センター)/勝田吉太郎(京都大学名誉教授・鈴鹿国際大学名誉学長)/慶野義雄(平成国際大学教授・日本教師会会長)/黄文雄(作家)/小堀桂一郎(東京大学名誉教授)/久保田信之(アジア太平洋交流学会代表・修学院長)/松本徹(作家・文芸評論家)/南丘喜八郎(『月刊日本』編集主幹)/宮崎正弘(評論家)/水島総(映画監督・日本文化チャンネル桜代表)/百地章(日本大学教授)/中村勝範(慶應義塾大学名誉教授)/中西輝政(京都大学教授)/奈須田敬(出版社主)/西尾幹二(評論家)/西岡力(東京基督教大学教授)/丹羽春喜(経済学者・ロシア東欧学会名誉会員・元日本学術会議第16期会員)/呉善花(拓殖大学教授)/小田村四郎(元拓殖大学総長)/大原康男(國學院大學教授)/岡本幸治(大阪国際大学名誉教授)/岡崎久彦(元駐タイ大使・岡崎研究所所長)/大森義夫(元内閣調査室長)/太田正利(元駐南アフリカ大使)/小山内高行(外交評論家・慶應義塾大学大学院講師)/櫻井よしこ(ジャーナリスト)/澤英武(外交評論家)/島田洋一(福井県立大学教授)/石平(評論家)/副島廣之(明治神宮常任顧問)/高橋史朗(明星大学教授)/高池勝彦(弁護士)/高森明勅(歴史学者・日本文化総合研究所代表)/竹本忠雄(元コレージュ・ド・フランス客員教授・筑波大学名誉教授)/田久保忠衛(杏林大学客員教授)/田中英道(東北大学名誉教授)/塚本三郎(元衆議院議員)/梅澤昇平(尚美学園大学教授)/渡邉稔(国際問題評論家)/渡部昇一(上智大学名誉教授)/渡辺利夫(拓殖大学学長)/屋山太郎(政治評論家)/山川京子(桃の会主宰)/山本卓眞(富士通名誉会長)/吉原恒雄(拓殖大学教授)/吉田好克(宮崎大学准教授) 以上、全67氏(「国際派日本人の情報ファイル」より)

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