719 ラントス委員長に「対抗馬」示唆 古沢襄

米議会における慰安婦問題に関する対日非難決議案の動きは、米国内で中国系反日団体や韓国系反日団体が強力な力を持っていることを示している。それはマイク・ホンダ議員のみならず米下院外交委員会のトム・ラントス委員長をも動かす影響力がある。
米国内の中国系反日団体や韓国系反日団体の動きは北朝鮮情勢に連動している。それを単純に北朝鮮のスパイ活動だと言ってしまうのは如何にも幼稚過ぎる。北朝鮮を宥め、すかし、恰好だけでも核保有を断念した形をつけるために、米国や中国、韓国が必死になっているから、拉致問題で突っ張る日本とくに安倍政権は目障りなのである。
だから極めて”政治的な意図”が背景にあると思わねばならぬ。靖国参拝問題が小泉政権を攻撃する道具となったように、慰安婦問題が安倍政権を攻撃する道具となった。ここで安倍政権が怯んでくれれば、米・中・韓の北朝鮮融和策が一歩進む。日本がゴネて、ロシアが他人行儀のままなら六カ国協議は一時休業して、米・中・韓・朝の四カ国協議も辞さないと、衣の下から鎧がみえ隠れしている。
主役は、あくまで米国内の中国系反日団体や韓国系反日団体なのである。ワシントンから伝えてきた産経新聞の古森義久特派員の記事は、そのことを鋭くえぐり出している。
<【ワシントン=古森義久】米下院外交委員会(トム・ラントス委員長)が26日、慰安婦問題に関する対日非難決議案を可決したが、この動きの背後では中国系反日団体がラントス委員長に激しい圧力をかけ、敏速に採決の動きをとらなければ次回の選挙で別の候補を支援するという政治的脅しがあったことが報じられている。
この情報はカリフォルニア州中部のニュースを報じる地方通信社「ベイ・シティ・ニューズ」(本社・サンフランシスコ)の6月14日発報道として流され、地元の新聞数紙に掲載された。
委員長に「対抗馬」示唆
同報道によると、歴史問題で日本を一貫して非難している在米中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会と略)の幹部たちは、他の在米中国系組織幹部とともに同州クパナティノの中国料理店で集会を開き、マイク・ホンダ議員らが下院に提出した慰安婦決議案の可決促進を協議した。
抗日連合会のイグナシアス・ディン副会長(中国系米人)が語ったところでは、同幹部連は下院のナンシー・ペロシ議長とラントス委員長が(慰安婦決議案の採決推進に関して)言い逃げをしているとの見解を明示した。とくにラントス委員長は人権擁護派の評判にもかかわらず「同決議案支持へのわれわれの訴えに応じず、有権者とアジア系米人社会への軽侮を示している」と主張したという。
このディン氏の発言はちょうどラントス委員長らが日系長老のダニエル・イノウエ上院議員から同決議案を審議しないよう要請され、さらに訪米した安倍晋三首相と会談して、同首相から慰安婦問題について「申し訳ない」という言明を得て、同決議案への取り組みをソフトにしたようにみえた時期と一致する。
しかし「ベイ・シティ・ニューズ」の報道によると、抗日連合会の幹部らは民主、共和両党議員への政治献金者であり、このままではラントス委員長らに献金目的にのみ利用され、実際の行動では放置されるという懸念を表明した。そしてディン氏らは「選挙区の33%がアジア系住民であるラントス委員長が同氏らと意思疎通できないならば、もう新しい議員の選出の時期となるだろう」と告げた。
ディン氏らはこの「脅し」をラントス委員長のカリフォルニア第12区の人口動態の数字と過去の投票結果で裏づけ、2008年の下院選挙では自分たち自身の候補をラントス委員長への対抗馬として立てることを示唆した。
ディン氏は「ラントス事務所の私たちに対する最近の扱いにはまったく当惑している。すでに対抗候補として十分に資格のあるアジア系米人女性を含む数人を考慮している」と語ったという。
在外中国系住民により1994年に設立された抗日連合会はホンダ議員の選挙区に本部をおき、中国政府とも密接なきずなを持ち、戦争や歴史に関して日本を一貫して非難してきたほか、2005年には日本の国連安保理常任理事国入りへの反対署名を4200万人分集めたと発表している。ディン氏ら幹部は1990年代からホンダ氏と連携して日本非難の決議案の作成や提出にかかわり、政治資金も集中的に提供してきた。
ラントス委員長の事務所ではこのディン氏らの動きについての報道に対し26日、「もう実際の事態展開で事情は変わった」と述べた。>
【慰安婦決議案要旨】
一、慰安婦制度は日本政府による軍用の強制的な売春で、20世紀最大の人身売買の一つ。
一、現在の日本にはこの問題を軽視しようとする教科書もある。慰安婦問題で謝罪した1993年の河野洋平官房長官談話を否定する世論もある。
一、日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安定の要。政治的、経済的自由の促進、人権、民主主義の尊重という価値観の共有に基づいた同盟であり続ける。
一、第二次大戦中に日本軍がアジア太平洋地域を支配した時代に行った従軍慰安婦問題について、公式声明で首相が謝罪すれば今後、この問題が再燃するのを防げるだろう。
一、日本政府は、日本軍が女性を性的奴隷にしたり人身売買に加担したことはないという主張の誤りをただすべきだ。
一、日本政府は現在および将来の世代にこの恐ろしい犯罪を伝え、元慰安婦に対する国際社会の声に配慮すべきだ。(ワシントン 共同)(2007/06/28 09:54)

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