717 連結器外された安倍外交 渡部亮次郎

言わないこっちゃない。米国通の共同通信OB松尾文夫氏がご指摘の通り、北朝鮮の核問題で、アメリカは苦しさのあまり、安倍政権とは連結器を繋がないまま独走しようとしている。置いてけ堀。
6月27日14時24分配信 読売新聞によれば、
<安倍首相が米中韓朝会合に強い不快感を表明した。これは安倍首相が27日昼、都内のニッポン放送で行われたラジオ番組の収録で、演出家のテリー伊藤さんと対談した際に述べたもの。
北朝鮮の核問題について、「日本が外れた6か国協議はありえない。(北朝鮮は)いろいろな策謀をめぐらして、日米、日中の分断を図ってくるが、彼らの策謀にはまってはいけない」と厳しく指摘した。
6か国協議参加国のうち米国、中国、韓国、北朝鮮の4か国が、朝鮮戦争の休戦協定に代わる朝鮮半島の恒久的和平体制を協議する会合を開こうとしていることに強い不快感を表明したものだ。
会合開催の検討は、6か国協議の米首席代表クリストファー・ヒル国務次官補が表明した>。
この点について渡部亮次郎のメイルマガジン「頂門の一針」848号
(07・06・26)は元共同通信社常務理事古澤襄(のぼる)氏の「米国の『敵前逃亡』?」を掲げて厳しく警告した。その結果がこれである。
古澤氏によれば、松尾氏は次のように指摘して、ブッシュ政権の変わり身を早くから指摘していた。それなのに日本外務省は何の疑問も抱かずに唯々諾々とアメリカを盲信してきた。もはや遅いかも知れない。
「アメリカは、はっきりと対北朝鮮政策を転換したのである。イラク戦争の泥沼化による2006年の中間選挙での敗北後、ブッシュ政権内でネオコン勢力が力を失った。
ライス国務長官の主導権の下で、核実検やミサイル発射は不問にして、とにかく北朝鮮の核開発に歯止めをかけることを優先する現実主義路線が実行に移されたというわけである。ヒル次官補がその立役者であった・・・と松尾氏は言いきった。
1月の時点で、米外交の転換をここまではっきり指摘した分析は出ていない。しかも拉致問題についても安倍首相は、アメリカの「敵前逃亡」を覚悟しておくことが必要かもしれない、と松尾氏は厳しい指摘をした。(古澤氏)
松尾氏は指摘する。
<少なくともこれまでのところ、アメリカは同盟国として、日本の立場に協力し、日朝間での拉致問題の進展がない限り、北朝鮮側が強く望むアメリカによる「テロ国家支援指定」の解除、「敵国通商法」の適用終了措置などには応じないとの姿勢を明らかにしている。
しかし、いま安倍外交につきつけられているのは、最後は「アメリカ頼み」となるこうした北朝鮮強硬路線が、どこまでうまく機能するのかどうかという課題である。
ライス国務長官・ヒル次官補のコンビによって、アメリカの対北朝鮮外交の現実主義路線への切り替えが実行に移される中で、当面はともかく最後には、北朝鮮とアメリカの取引のなかで日本が取り残され、裏切られるような結果になる可能性がないとはいえないのではないか>と。
「現実に今この懸念は増大している。アメリカの著名なジャーナリストたちは、北朝鮮は日本にとっては脅威かもしれないが、アメリカにとっては直接的な軍事的脅威にはならないと言い出している。
僅かにワシントン・ポストがライス国務長官・ヒル次官補の際限のない妥協外交を批判している程度である」(古澤氏)。
外務省幹部が事態を真剣に検討していたなら、今頃は「来るものが来たか」と考えているかもしれないが、北朝鮮問題に関する限り、アメリカの本心は依然、遠いから「痒い程度」であり、日本の置かれた深刻な苦境は全く理解できない。
結局は今後は日本にだけ経済援助を出させて問題にフタをするのがアメリカのような気がする。その額について、嘗て韓国との国交正常化を知る関係者は、その額を「数億ドル」という。
冗談じゃないアメリカは「200億ドル」を日本に出させようとしているとの説が真実味を増している。だとすれば安倍さんの進退は参院選挙の結果どころの話ではない。2007・06・27

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