米国では7秒に1人のペースで子どもが生まれ、13秒ごとに1人が死亡、 31秒に1人が米国に移住している。つまりは11秒に1人のペースで人口が増加している。三億人の人口は2043年ごろには四億人に達すると米国勢調査局は予測している。少子高齢化で人口減に悩まされる先進国の中で、まさに例外的な国家である。
その米国を事実上、支配しているのは人口の2%程度のユダヤ系アメリカ人だという。ラテン系、アフリカ系、アジア系などのマイノリティより少ない五四〇万人。人口五〇〇万人のイスラエルが、二億人といわれるアラブ諸国と張り合っているのも不思議だが、米国のユダヤ社会の強大な力はどこからくるのであろうか。
その一つはユダヤ系アメリカ人が米国経済の25%を直接的に動かし、資金投資などの間接的な関与を含めると40%もの影響力を持っている。この経済力を駆使して大統領選挙になると裕福なユダヤ系アメリカ人と団体は、大量の寄付行為をして政治的な影響力を行使してくる。
もう一つは最高の権力となる大統領選挙の制度をユダヤ系アメリカ人は、実に巧みに利用している。ユダヤ系アメリカ人は人口の高い12州に集中して居住している。極端なことをいえば、この12州で勝てば他の州で全敗しても大統領選で勝利する仕組みになっている。民主党のアルバート・ゴア候補が全米の得票でブッシュ共和党候補を五〇万票も凌駕しながら、選挙人投票で25人の選挙人の差で大統領選に敗北した例がある。
基本的にはユダヤ系アメリカ人の60%が、民主党支持だといわれている。典型的な例は湾岸戦争をリードし、勝利して米国民の高い支持率を得たジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ元大統領(ブッシュ大統領の父)が、民主党のビル・クリントン候補と争って現職の大統領でありながら敗北している。
パパ・ブッシュの敗因は湾岸戦争後の景気後退やロス・ペロー候補が19%も得票したことなどが挙げられるが、ユダヤ系アメリカ人の支持を失ったことも遠因となっている。この時にユダヤ系アメリカ人のほぼ80%がクリントン支持に回ったといわれる。
クリントン大統領の在任中はユダヤ社会を無視した行動は避けて、イスラエル問題には勢力的に取り組んでいる。ヒラリー・クリントンが民主党の大統領候補として一頭地抜いているのは、ユダヤ社会の支持があるものとみていい。資金的にもユダヤ系アメリカ人の献金が集中しているのではないか。ユダヤ社会の影響力が強いアメリカのメディアもヒラリーに好意的な報道を行っている。
逆にいえば劣勢を伝えられる共和党が、ヒラリー優位の状況を覆すにはユダヤ社会の支持を得ることだが、その見通しは暗い。一部にはジュリアーニ前ニューヨーク市長や俳優出身のフレッド・トンプソン元上院議員に代わって、ユダヤ社会の支持を得る第三の候補が来年早々に出現するという観測もあるが、果たしてどういうものであろうか。(続く)
1064 米ユダヤ社会の力(1) 古沢襄
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