1814 再び天皇のお見送りについて 渡部亮次郎

来日中の胡錦濤中国主席は9日はホテル・ニューオータニを引き払い横浜を経て関西に向かうため、慣例により天皇皇后両陛下は見送りの挨拶をされるべく、午前10時から胡氏宿泊先のホテルに出向かれる。
これに対して国賓接遇の慣例を知らない人から、天皇のお見送りは必要ないとか、総理大臣にやらせればいいとか頓珍漢な意見で反対意見のみならず、デヴィ・スカルノ夫人のように『反対』呼びかけまでしている人がいる。
結論から言うと、国賓を両陛下がお見送りするのは慣例であって、これまでは殆どの国賓を迎賓館に出向いて見送ってこられた。尤も相手が国家元首ではあっても国賓でない場合は、なさらない。
国賓とは「広辞苑」に拠れば「国家元首が接待する海外からの賓客。主に外国の元首や首相が来日する場合で、歓送迎会(歓迎と歓送)への天皇の出席、21発の礼砲、宮中晩餐会の行事がある」と説明している。礼砲は弾丸を撃ち尽くして敵意が無い、歓迎するという意味。
国賓・公賓など外国賓客(平成11年以降)(宮内庁HP)
ルクセンブルク国大公ジャン同妃両殿下(国賓) オーストリア国大統領夫妻(国賓) ヨルダン国国王アブドッラー王妃両陛下(国賓) ハンガリー国大統領夫妻(国賓)
ノルウェー国国王ハラルド五世王妃両陛下(国賓) 南アフリカ共和国大統領夫妻(国賓) フィリピン国大統領及び同夫君(国賓) インドネシア国大統領及び同夫君(国賓) メキシコ国大統領夫妻(国賓)
モロッコ国国王モハメッド六世陛下(国賓)インドネシア国大統領夫妻(国賓)
平成19年はスウェーデン国国王カール16世グスタフ陛下及び王妃シルヴィア陛下(国賓) ベトナム国主席夫妻(国賓)だった。
今年平成20年は胡錦濤中国主席夫妻が初めてである。
要人は毎年勿論他にも沢山来日されており国家元首や首相も多いが、政府の賓客(公賓)か公式実務か、お構いなしである。国家元首も国賓待遇が複数回は殆ど聞かない。
<国賓とは,政府が儀礼を尽くして公式に接遇し,皇室の接遇にあずかる外国の元首やこれに準ずる者で,その招聘・接遇は,閣議において「決定」されます。
皇室における国賓のご接遇には,両陛下を中心とする歓迎行事,ご会見,宮中晩餐,ご訪問がありますが,両陛下はじめ皇族方は心をこめて国賓のご接遇をなさっています>(宮内庁HP)
<公賓とは,政府が儀礼を尽くして公式に接遇し,皇室の接遇にあずかる外国の王族や行政府の長あるいはこれに準ずる者で,その招聘・接遇は閣議「了解」を経て決定されます。皇室における公賓のご接遇には,両陛下によるご引見や宮中午餐があります。>(同上)宮中の晩餐会でなく午餐会(昼食会)か首相の歓送迎会が付く。
<国賓とはいえ、万世一系の、世界のロイヤルファミリーの中でも最も古く最も格式の高い、日本の象徴であられる天皇皇后両陛下が、自らわざわざお見送りのためにホテルにお出向かれになられると言うのは、国民の一人として大変忍びがたく、本来あってはならないことと感じ、日本人として懸念しております。>とデヴィ夫人の悔しさがよく判る。同じような感想を持って反対を叫んでいる人が多い。
しかし今回の措置は縷々説明したように政府も宮内庁も慣例に従ったまでのことであり、迎賓館の改装工事と重なっての止むを得ない、しかし当然のことをしているに過ぎない。宮内庁は胡錦濤氏だからと言って儀典上、特別のことを何らしていない。
又私のところに届いているご意見の中には天皇陛下ではなく首相の見送りで十分というのがあった。しかし国賓は天皇陛下のお客であって首相のお客ではない。主人の客を使用人に見送らせるようなもので失礼である。
両陛下が外国に国賓として行かれて相手国から失礼な事をされても怒れなくなる。外交は相互主義が原則なのだから。
今更あり得ないことだが、デヴィ夫人らのような言い分を容れて両陛下がホテル訪問を取りやめでもされたら相互主義の儀礼を破ったとして国際問題に発展する事は避けられない。無知が鞭を引き寄せる。
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