2684 ピッツバーグが甦っていた 宮崎正弘

大不況のアメリカで、鉄の町ピッツバークが蘇生していた!全米平均失業率は6・9%、ピッツバークは5・5%。
嘗て米国資本主義がピカピカに輝いていた1970年代まで、ピッツバーグは米国工業力の象徴だった。
技術開発に遅れを取り、一方で肥大化した経営の無駄を黙認し、労働組合の企業年金や福祉、はてはヘルスケアの特権要求に応じている間に、日本や韓国の追い上げがあった。鉄鋼生産のコストがあわず、鉄の町は寂れた。
鉄鋼で粗鋼生産世界一はいまや中国、ついで韓国。日本は自動車鋼板とハイテク産業用の特殊鋼を中心に技術力で生き延びている。
GMに象徴されるデトロイトは、いずれ1980年代のピッツバーグのように廃れることになりそうである。
GMの倒産はすでに織り込む済み、問題は「計画倒産」ののちの再生プログラムだが、ここで南北対立が起きている。
南部は外国企業が進出してエコカーや小型車などの自動車生産。北部、とくに中西部はGM、フォード、クライスラーの牙城、大型車は燃費効率が悪い上、小回りの利かないクルマを量産した。
したがってビッグ3救済に賛成する北部、中西部の民主党と、反対する南部民主党との対立が先鋭化している。ブッシュ大統領は、結局、「つなぎ融資」でお茶を濁し、時期オバマ政権に、このビッグ3の解決を先送りした。
ピッツバーグが甦っていた。「全米平均失業率は6・9%、09年度にはおそらく10%に達する。しかしピッツバークは5・5%。
産業の転換は、ますエンジニアの再訓練、そのための教育施設の充実、新しい産業の誘致など定石的なことから始められた。ほかの自治体と違ったのは、州の予算、市の予算を大々的に「未来」に投資するという決断だった」(ヘラルドトリビューン、1月9日付け)。
 
鉄鋼に従事する労働者は、1980年代のピッツバーグでは10%もいた。いまや1%。産業構造が激変した。長大重厚からソフト産業への切り替えは、容易な道ではなかった。
過去二十年間にピッツバーグは大学教育を充実させ、バイオ、IT関連の企業誘致に成功、地元の大学卒業生が、就労する。
ドイツの大手製薬二社も進出した。
ウエスチングハウスは原発を建設し、新しい雇用を運んだ。カジノ建設も実現した。
 
ピッツバーグでは全米の傾向とは逆に住宅価格が奇跡的に上昇している。地元の銀行が不動産ブームに便乗せず、堅実な経営をする企業にしかカネを貸さなかったからだ。 だから不動産バブルはなかった。
こうして鉄鋼のシンボル、USスティールの城下町だったピッツバーグは、「バイオ、IT、教育、医療」の町へと変貌を遂げていた。
デトロイトが、二十年後に第二のピッツバーグになる可能性は、絶無とは言えまい。
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コメント

  1. 三上 より:

     私中国で仕事してますが、日本の特殊鋼の人気、すごいですね。日立金属さんのSLD-MAGICってのが話題になっています。

  2. 初心者 より:

    トライボロジーの分野でしょ?難しい分野ですね。しゅう動 すべり かじり 摩擦 摩耗 自己潤滑 浸炭 焼付き 凝着 PV値など同じようなのに少しづつニュアンスが違う見たいらしいですね。

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