人間と会社の全盛期は「昇って10年、昇りつめて10年、降って10年」の30年というが、国家の全盛期というのも意外に短いもので、160年前後のようだ。一世代を30年とすればひい爺さんが創業し、子、孫、ひ孫に引き継がれ、やしゃ孫の親子5代あたりで終わりみたいである。
スペインは植民地からもたらされた富によって16~17世紀、大航海時代に「太陽の没することなき帝国」になった。しかし、好事魔多し、1588年のアルマダの海戦で無敵艦隊が英国に敗れて弱体化を開始。スペインの黄金時代は新大陸発見の1492年から1659年の西仏戦争で終わりを告げた。この間、167年。
オランダは17世紀初頭以来、東インドに進出してポルトガルから香辛料貿易を奪い、黄金時代を迎えた。しかし、3度にわたる英蘭戦争で大きな打撃を受け、18世紀末にフランス革命が勃発すると革命軍が侵入し、やがてフランスの直轄領として併合された。1648年から1789年の141年が全盛期だったろう。
イギリスは1760年代からの産業革命以降、1918年の第一次世界大戦終了あたりまで「史上最大の帝国」として君臨した。それ以降はゆるゆると後退し、今も一等国ではあるが、覇権国家とは言えなくなった。全盛期は160年間である。
イギリスの後を襲ったのが米国だ。1941年の第2次大戦以降、超大国として君臨し、まだ69年しかたっていない。この間にライバルのソ連は解体された。
新たな覇権国として中共がのし上がってきたが、まだ肩を並べるまでに至っていないから、いささか力を失いつつあっても米国は依然として唯一の超大国である。あと100年は「米国の時代」が続くだろう。
我が国は1868年の明治維新以来、富国強兵を進め、大東亜戦争後はもっぱら米国に擦り寄って経済大国になった。この間、142年だから全盛期の残りはわずか18年、平成40年(2028)頃からは勢いがなくなる勘定だ。満つれば欠ける、「日はさらに沈む」。
世界でも稀に見る少子高齢化で人口は減るばかり、経済はマイナス成長とくれば元気が出るわけもなく、過去の遺産で食べるという、「売家と唐様で書く三代目」で落ちこぼれそうである。
政治家は国家百年の計を語り、そのための工程表を示してこそ政治家だが、そういう骨太の政治家、理念を持った政治家がほとんどいないのはどういうわけだろう。最早政治家までもが戦後的平和秩序の中で金属疲労を起こし、去勢されてしまったのか。(参考:ウィキ)
杜父魚文庫
6137 国家の全盛期は160年 平井修一
平井修一
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