7124 エジプト政変第二幕 エルバラダイ帰国  宮崎正弘

エルバラダイ元IAEA事務総長が滞在先のウィーンからエジプトへ帰国した。「ムバラクは引退せよ、暫定救国政権なら引き受ける」と帰国声明に熱狂と批判。新しい政変劇第二幕があいた。
カイロ空港で内外記者団に囲まれたエルバラダイ元IAEA事務総長は「ムバラク大統領は三十年もエジプトのために奉仕した。もう、引退せよ。救国統一戦線による暫定内閣が発足するなら、貢献する用意がある」と発言した。
熱狂と批判の渦が同時におこった。
批判の声のほうが強いのは、第一にノーベル平和賞受賞というだけで、国際的には有名だが、エジプトになにか過去の貢献したのか? 第二に三十年以上にわたって海外に暮らしてきた人間はエジプトの内政を知らないし、欧米の民主主義環境への認識とエジプトを重ねての改革志向は基本的に謝りであるとする複雑な批判だ。
第三にすでにエルバラダイは82歳。そもそも原子力監視などと地味な仕事は、カリスマ性がないではないか、と政治プロの批判が目立つ。
エルバラダイ元IAEA事務総長の帰国を歓迎するのは一般民衆、ノンポリ、若者のツィッター派など、つまりは淡い期待とかすかな希望を彼に託している。政治力が未知数であり、修羅場をくぐる体験がすくないことなど問題にしていない。
一方、かれを警戒するのはムバラク与党、ビジネス・エリートなどのエジプトエスタブリシュメントと、意外にも最大野党「ムスリム同胞団」である。
反政府運動の主導権をにぎろうとしている野党は混戦しているが、少数野党の連合がおおきな波になってエルバラダイをかつぐことに、最大野党「ムスリム同胞団」は不満である。
もうひとり、エジプトの有名人がいる。ガリ元国連事務総長だ。
しかしガリはムバラク政権で外務大臣をつとめ、かれの家系はその前の王朝に繋がり(父親は王朝の首相だった)、しかもガリはキリスト教コプト教徒だ。エジプト政治が受け入れる素地を基本的に欠いている。
かくしてカイロは今日も熱い。

杜父魚文庫

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