8370 アメリカの9・11への対応は過剰ではなかった 古森義久

アメリカ各地では9・11の大テロの10周年を機に、さまざまな行事が催されています。論壇での意見の対立も依然にぎやかです。
そのうちの一つ、「9・11テロへの米国当局の反応や反撃では過剰だった」という議論が展開されていますが、多数派の明確な答えは「ノー」のようです。
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■「過剰反応」は少数派
【ワシントン=古森義久】米国では米中枢同時テロから10年となるのを機にテロ後の政府全体の対応が過剰だったのではという懐疑論も表明されるように なった。この10年、米国内でテロが皆無だったことや国際テロ組織アルカーイダが弱体化したことからの議論だが、激しい反発や否定を浴びている。
ワシントン・ポスト紙のリベラル派コラムニスト、ユージン・ロビンソン氏は9日付の同紙に「米国が開始したのは対テロ戦争ではなく対アルカーイダ戦であ り、その戦いは9・11テロの首謀者ハリド・シェイク・モハメド容疑者が逮捕された2003年3月に終わった」と書き、イラク攻撃もアフガニスタンでの闘 争継続も過剰だと主張した。
カーター元大統領(民主)の国家安全保障補佐官だったズビグニュー・ブレジンスキー氏も「米国の対応は戦略的一貫性と政治的賢明さを欠き、過剰となっ た」との見解を発表した。ところが米国上院の無所属のジョゼフ・リーバーマン議員は同日のウォールストリート・ジャーナル紙で「米国の対応を過剰だと評す ることが最近の知的ファッションだが、この見解は根本から誤りだ」と反論した。同議員はテロへの対応を「戦争」と規定したからこそ、米国内でのテロ再発を 防げたのだと説く。
保守派の重鎮政治評論家のチャールズ・クラウトハマー氏もワシントン・ポスト紙に「9・11への対応が『過剰反応』? ナンセンス」という題のコラム記 事で、米政権が2代にわたり、国内の治安強化とアフガン、イラクでのテロ支援勢力の壊滅に努めたからこそ現在の安定が得られたのだ、と強調した。
同氏はイラクでの戦闘こそ米側の当初の狙いとは異なったが、結果として最強部隊を投入したアルカーイダに対し、一般住民の多くが米軍側について戦い、テロ勢力に大打撃を与えたことが米国の対テロ戦全体の勝利とアルカーイダの敗北につながったとも説いた。
ブッシュ前政権で国防副長官だったポール・ウォルフォウィッツ氏もウォールストリート・ジャーナル紙で「過剰反応とは第二次大戦での日系米人の強制収容のような措置を指し、9・11では再発を防ぐために戦時の特別措置を取ることが不可欠だった」と主張した。
同氏はイラクで大量破壊兵器の備蓄が発見されなかったことも「過剰反応の論拠にはならない」と述べ、当時のイラクのフセイン大統領が9・11への実行犯 を国家元首では世界でも唯一、礼賛しただけでなく大量破壊兵器の開発への意図を明確にしていたことなどを列挙して、「米国当局がこうしてすべての可能な措 置をとったからこそ今日の安全が獲得できたのだ」と総括した。
9日付の同紙はオピニオン面全面を割いて「9・11で米国は過剰反応したか」という大特集を組んだが、7人の識者のうち5人が「過剰ではなかった」との意見を述べた。一般の世論調査でも「過剰」だとする米国民は平均して4分の1以下の少数派となっている。
杜父魚文庫

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