13632 尖閣で騒いでいる場合か、習近平政権は危機水域  宮崎正弘

頻発する新型のテロは憤慨する民衆の反政府抗議の手だて・・・。
新型のテロが中国国内でますます活発化している。7月7日、厦門で走行中の公共バスにガソリンをまいて放火し、乗客ら50名が死傷した。大事件となったが、当局はマスコミ報道を抑えた。犯人は陳水総という農民で、農地問題で不満を爆発させたといわれる。
7月12日、北京市朝暘区で「精神異常者」がナイフを振り回し、米国籍女性を含む二人を殺傷する事件が起きた。
7月20日、北京空港で、政府の無策に抗議して身体障害者が爆発物に引火する爆破テロが起きた。広東省出身の犯人は八年間、自動車免許の申請を理由なく断られつづけ、思いあまっての自爆テロに走った。
7月22日、北京市内カルフール(フランス系スーパー)にナイフを持った男が乱入し、買い物客多数を刺した。無差別殺人の動機も政府の無策への抗議である。先年、江西省では政府ビルに爆発物をもってバイクで乗り付けた農民が玄関ロビィで自爆テロ、自らを含む四名が死んだ。無理矢理の農地買収への抗議だった。
こうして軍人OBや警察関係とは別に、庶民が新型のテロルを展開し始めている。しかもネット上では、これらの犯人は「英雄」視されている。
数年前も上海の警察署に侵入して警察官六人を刺殺した若者を英雄視する投書が延々と続いたものだった。
盲目の人権活動家、陳光誠の弁護士として知られ、また中国の法治、人権を要求する知識人の「公盟」のメンバーでもある著名な法律家、許志永が理由も曖昧なまま、当局に拘束され、同時に15名のメンバーが拘束された。
許志永は共産党幹部の資産公開を要求して活動してきた。米国は中国に対して、この許志永の釈放を要求した。こんなおりに日本で北京政府の代弁者として知られる朱建栄が中国国内で「行方不明」に鳴っていることも判明している。
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声) 中東情勢はエジプト・シリアなどの混乱が続いています。シリアでは反体制派への武器供与を行うアメリカとアサド政権支持のロシアが対立、米露の代理戦争のようにも見えますが、アメリカ当局による個人情報収集活動を暴露したスノーデン氏の問題で米露関係はさらに悪化しているようです。
一方、エジプトはイスラム主義派と世俗派のせめぎあいで毎日多くの犠牲者を出している。
アラブ世界での宗教と世俗の関係は日本人にはわかりにくいですが、毎日新聞のカイロ特派員だった布施広氏の「アラブの怨念」(1997年 新潮社、2001年 新潮文庫 絶版)に宗教政党を認めたアルジェリアの混乱の例が出てきます。
1990年当時の話ですが今でも状況はさほど変わらないのではと思えます。1990年に行われたアルジェリア初の複数政党制による地方選挙ではイスラム政党であるFISが圧勝。その結果、イスラム原理主義的な規制が強化される事態になる。酒の販売禁止、女性の就業規制の強化、歩道の彩色タイルは剥がされ、フランス風に路上にテーブルと椅子を置いた店は営業停止となるなどイラン革命とよく似ています。
国政選挙でもFIS圧勝ムードだったアルジェリア、宗教政党を禁止しなんとか世俗国家を維持。布施広氏はイスラム原理主義勢力をアラジンの「魔法のランプ」に出てくる巨人にたとえます。
アラブ世界は実験としてランプの封印を解いたものの、出てきた「巨人」に危機感を抱き、再び「巨人」をランプの中に封じ込める方策を考えなければならなかったと。布施氏がカイロ特派員だったころから20年以上経っていますが、「巨人」はますます大きくなっているように思います。(PB生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)アラジンと不思議なランプですか。おとぎ話と比喩が現代アラブ世界を描写するというのは古事記の神話と現代日本を比喩するような手法と連想しがちですが、民族も歴史も入り乱れた地域と日本とはまったく違うのでしょうね。
杜父魚文庫

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