13897 中国の無人機がやっぱりやってきた   古森義久

尖閣諸島近くに中国の無人機らしい航空機が飛んできたことが自衛隊から発表されました。ああ、やっぱり、と思いました。中国軍が近い将来、無人機を尖閣諸島に向けて飛ばしてくるだろうという予測を昨年10月に報道していたからです。
そのときのレポートを以下に改めて紹介します。
<<尖閣空域に中国の無人機が飛んでくる 日本の譲歩を求めて海から空から威嚇>>
尖閣諸島を自国領として日本から奪取しようとする中国の戦略意図はますまず明確となってきた。中国が今後ともあの手この手で日本を威嚇し、圧力をかけて領有権での譲歩を求めてくることは確実である。
日本側としては、尖閣諸島を放棄してしまうという道を選ばない限り、中国との間では「永遠の摩擦」を覚悟して対処するしかない。この「永遠の摩擦」という言葉は米国の海軍大学付設の「中国海洋研究所」のピーター・ダットン所長が尖閣問題での日本の立場を評して使った表現だった。こうした表現に象徴されるように、米国でも尖閣を巡る日本と中国との対立に真剣な関心が向けられている。
■中国軍が尖閣に迫って来る可能性はあるか
中国の今後の尖閣問題へのアプローチには、当然、軍事的な動きが含まれる。軍事だけが尖閣攻略のすべての方法ではないことは明らかだが、軍事がいつも主要な要因であり続けることも明白だと言える。
いまのところ米国の専門家たちの間では、中国は尖閣諸島に向けての正面からの軍事力の行使は避けるという見方がコンセンサスに近くなっている。
中国が軍事手段を当面は選ばないという理由は、日本側の防衛力が強固であり、尖閣周辺の局地戦では中国軍にはとうてい勝ち目がないことが最大だとされている。また、米国が同盟国として日本が尖閣への攻撃を受けた場合には軍事支援する方針を言明していることの比重も大きい。
とはいえ、今後、中国がなんらかの形で軍事力を使って尖閣に迫って来ると見通す米国専門家も、極めて多いのである。現に中国人民解放軍は10 月19日にも東シナ海で東海艦隊などの艦艇11隻を投入して、尖閣対策であることが明白な合同演習を実行した。今後も中国海軍の艦艇による尖閣周辺海域の 航行など軍事行動が予測される。
■世界各国が開発に力を入れる軍事用無人機
さて、こうした背景の中で、米国の中央情報局(CIA)出身の専門家集団が運営する民間の安全保障調査機関が、中国軍のある動きを明らかにした。尖閣諸島の主権の主張のために、新鋭の無人機を飛ばす計画を進めているというのである。
中国側は海軍の艦艇上から尖閣をめがけて無人機を飛ばし。日本側の領有権や施政権を弱めることが狙いだという。
無人機と言えば、近年、世界各国が力を入れるようになった兵器の分野である。米国が先頭となって、各種無人機の開発や配備が急速に進んでいる。ちなみに国際テロ組織のアルカーイダの最高指導者オサマ・ビンラーデンを殺した米軍の作戦でも無人機の使用が偵察に威力を発揮したことが知られている。
いまの世界では無人機は単に偵察だけでなく、標的を絞っての敵目標の破壊、そして特定の人間を殺すための攻撃にまで頻繁に使われるようになったのだ。
■領空侵犯が明白でも日本はいきなり撃墜できない
CIAの元分析官や元工作員たちが運営する民間の国際安全保障の調査機関「リグネット」は10月中旬、「中国が無人機で紛争諸島の主権を強化する」という題の報告書を作成し、中国人民解放軍の海軍が最近、海洋での無人機使用を強め、特に尖閣諸島に向けて将来、頻繁に飛行させる計画だと指摘した。 リグネットには長年、CIAで中国の軍事戦略やアジアでの大量破壊兵器の動向を調査対象としてきた専門家数人が加わっている。
リグネットの報告によると、中国軍は2011年6月に海軍艦隊が尖閣近海を航行した際、艦隊の一部のフリゲート艦上からヘリコプター型の無人航空機を発進させ、尖閣付近の上空を飛行させた実例がある。中国軍は近年、無人機の調達や開発、使用に熱心となり、オーストリアのシーベル社製無人ヘリコプ ター「S100型」18機をすでに購入したほか、自国製の各種の無人機の開発に着手した。
こうした中国軍全体としての無人機への取り組みの意欲は、2010年の珠海での航空ショー中国官民による無人機モデルが25種類以上も展示された 事実からも明白だとされている。2011年6月に尖閣付近の飛来した無人ヘリもS100型ではなく、中国製だった確率が高いという。
さらにリグネット報告によると、中国海軍は東シナ海での尖閣諸島を中心とする将来の作戦活動でも無人機をフリゲート艦、あるいは新配備した空母の 「遼寧」から発進させ、尖閣諸島の日本側が自国領空と見なす空域にも侵入させて、日本側の活動を偵察するだけでなく、尖閣地域での中国側の「領空権」や 「主権」を強め、日本側の主権を希薄にすることをも戦略目標としている。
同報告はこの中国軍無人機が攻撃用兵器を搭載しているかどうかは明記していないが、尖閣空域へのその飛行は日本の自衛隊機などとの接触や衝突なども予測され、日中両国間の対立をさらに緊迫させる公算をも指摘した。
同時に同報告は「日本側は現在の憲法の制約下では自国の領空侵犯が明白でも外国の無人機をいきなり撃墜はできず、対応に苦慮する一方、中国側はその日本の制約を知っているがために、尖閣空域への無人機送りこみをあまり深刻な懸念なしに実行できるだろう」とも述べて、日本側の屈折した防衛事情にも触 れていた。
尖閣問題では中国側が同じ軍事面での威嚇や圧力でもこうした多様な手段を用意していることは、日本側でも十二分に注意しておく必要があるだろう。
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そして以下が本日9月9日の最新報道です。
<<尖閣周辺で無人機確認 中国か、爆撃機も南西諸島越え飛行>>
防衛省統合幕僚監部は9日、尖閣諸島(沖縄県石垣市)北東の公海上空で同日午前、無人機とみられる航空機が数時間にわたり飛行したと発表した。機体は日本が設定している防空識別圏に入ったため、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応、領空侵犯はなかった。同省は「国籍不明」としているが、中国機とみられる。
同省が無人機の飛行を目視で確認し、緊急発進で対応したとして公表するのは初めて。機体は尖閣・魚釣島から北東約200キロ付近で徘徊(はいかい)するような飛行をした後、北西へ引き返した。
小野寺五典(いつのり)防衛相は札幌市内で記者団に対し、「特異な事例だ」と指摘。菅義偉(よしひで)官房長官は記者会見で「わが国の領土、領海、領空を守る観点から厳正な警戒態勢を敷いていきたい」と強調した。中国外務省の洪磊報道官は記者会見で「(そうした)事態を把握していない」と述べた。
一方、8日午前には中国軍のH6爆撃機2機が沖縄本島-宮古島間の公海上空を往復飛行した。中国軍機の南西諸島通過は7月にY8早期警戒機が同空域を通過して以来。中国国防省は「今後も計画に従い、この種類の定例訓練を行う」との談話を発表した。(産経)
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