1250 捜査は来年早々から政界ルートへ 古沢襄

東京地検特捜部の捜査は大きく言って二つの対象を追っている。一つは今の宮崎容疑者(山田洋行元専務)と守屋容疑者夫妻(前防衛事務次官)にからむ贈収賄事件。防衛庁の天皇といわれた守屋容疑者の防衛官僚ルートになる。
このルートからは世間で噂される政界ルートに発展する可能性はほとんどない。それほど守屋容疑者の力が勝り、歴代の防衛庁長官が出る幕がなかったといえる。贈賄側の宮崎容疑者も一時は久間元防衛相に近づいた時期があったが、久間氏が山田オーナーと旧知の仲であることを知って距離を置いている。
この構図は山田オーナー・久間氏VS宮崎・守屋の敵対関係とみていい。しかも山田洋行が防衛庁の装備品調達で急成長を遂げたのは、実力者だった宮崎容疑者の力に負うところが大であった。宮崎容疑者はコロコロ変わる防衛庁長官よりも、庁内で発言力が強い守屋容疑者に焦点を絞っている。これが異常ともいえる守屋容疑者夫妻のゴルフ接待になって現れた。
宮崎容疑者と守屋容疑者夫妻は特捜部の取り調べに対して贈収賄の大筋では認めているといわれる。この筋で立件し、東京地検は近く起訴するであろう。頑強に否認するとみられていた守屋容疑者夫妻が意外に早く落ちたかにみえるが、弁護人は法廷で争う戦術転換をみせたのではないか。
贈賄側の宮崎容疑者の罪は免れないが、収賄側の守屋容疑者夫妻の犯罪を構成する要件をめぐって検察・弁護人の対立が法廷で繰り広げられるであろう。これだけ世間を騒がせた事件について裁判官が下す法判断が注目の的となる。
これとは別に特捜部はもう一つのルートを追っている。捜査班は二編成になっているといわれる。このルートは政界ルートといわれるものだ。山田洋行がらみの宮崎容疑者と守屋容疑者夫妻の起訴が年内に終われば、来年早々から政界ルートの捜査が本格化する。
政界ルートの壁は厚いといわれる。これまでも、くつかの疑惑が取り沙汰されたが、不発に終わるケースが多かった。収賄罪の時効は五年である。これは守屋容疑者が防衛庁で権勢を振るった時期と重なってしまう。
一機550億円で購入が決定していた早期空中警戒機の購入経過に関する疑惑で、衆議院予算委員会で野党だった野中広務氏が中西啓介防衛庁長官を追及したことがある。また、航空自衛隊出身で装備畑に絶大な影響力を誇っていた田村秀昭前参院議員に関して、比例名簿の上位にランクアップする献金疑惑も取り沙汰された。
また民主党の東祥三・元衆議院議員が山田洋行の顧問として採用されたのは、田村氏の働きかけがあったとされた。いずれも民主党の小沢代表に近い存在である。だが、いずれも五年の時効に阻まれているから、いまさら事件化することはできない。
どこから突破口を開くのであろうか。その意味で読売新聞の記事は注目に値する。記事では社団法人「日米平和・文化交流協会」(専務理事・秋山直紀氏)に特捜部が目をつけているとしている。
同協会が2003年2月、旧防衛庁が発注した福岡県苅田(かんだ)町の毒ガス弾処理事業の調査業務を受注した件を取り上げた。毒ガス弾処理事業は、旧関東軍が満州で遺棄したといわれる毒ガス弾処理にも転用された。特捜部の狙いは、このあたりの解明にあるのかもしれない。
<防衛装備品調達を巡る汚職事件で、守屋武昌・前防衛次官(63)が逮捕前の読売新聞の取材に対し、防衛族議員らが理事を務める社団法人「日米平和・文化交流協会」の専務理事・秋山直紀氏から、久間元防衛相らが同行したゴルフや宴席で接待を受けたことを明かした。
一方、同協会が旧防衛庁発注事業を受注した時期に、防衛専門商社「山田洋行」から協会側に約1億円が提供されていたことも判明。秋山氏は政界と防衛関連企業を結ぶ「パイプ役」と呼ばれており、東京地検特捜部は協会を巡るこうした資金の流れを調べている。
同協会は、防衛族議員や防衛関連企業の幹部らが理事に名を連ね、2003年2月、旧防衛庁が発注した福岡県苅田(かんだ)町の毒ガス弾処理事業の調査業務を受注。山田洋行も、03~04年に処理事業を受注した大手鉄鋼メーカーから業務の一部を下請け受注した。関係者によると、山田洋行は02~03年ごろ、米国現地法人の裏金口座から約1億円を別会社を経由して、協会側に送金していた。この送金は同社元専務の宮崎元伸被告(69)の指示だったという。
一方、秋山氏について、守屋容疑者は取材に対し、政治家との親密ぶりを証言した。守屋容疑者によると、次官在任中の05年ごろ、秋山氏から誘われ、茨城県内のゴルフ場で久間元防衛相と額賀財務相との4人でプレーし、代金は秋山氏が全額負担したという。また、「秋山さん、久間さんと3人で飲食したことはいっぱいある」とも語った。守屋容疑者が出席した宴席は昨年まで2か月に1回程度開かれ、大半の宴席には同協会理事の大手防衛関連企業の幹部も同席、費用は秋山氏が負担したと話した。
山田洋行側からの資金提供について、秋山氏は「事実ではない」と否定している。また、「ゴルフは守屋さんから『久間先生、額賀先生と話がしたい』と頼まれセットした。費用負担は覚えていない。守屋さんを久間先生との宴席に呼んだのは1回だけ。守屋さんは払っていないが、先生方からは通常、宴席の費用を受け取っている」と話した。
ゴルフなどについて、久間元防衛相は事務所を通じ「回答しない」とコメント。額賀財務相は「記憶にない」としている。額賀財務相は今年8月まで、久間元防衛相は現在も同協会の理事を務めている。(読売新聞)>
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