1706 1994年の繰り返しか? 古沢襄

朝鮮半島の情勢がおかしくなっている。北朝鮮の傀儡政権とまでいわれた盧武鉉に代わって登場した李明博大統領を揺さぶる狙いというのが、ソウル筋の見方だが、相次いで打ち出される強硬路線はただならぬものを感じさせられる。
ソウルだけでなくワシントンも含めて各種情報を総合するすると、北朝鮮は核を放棄しないという政策転換の兆しがみえる。チベットはじめ少数民族の叛乱を押さえることに汲々としている中国には、北朝鮮を押さえる意志が感じられない。
北朝鮮の核計画を完全申告させることに極めて楽観的だったヒル米国務次官補の動きも昨年からはかばかしく進展していない。
拉致問題のみならず核放棄も曖昧なまま北京の六カ国協議が再開されるだろうか。これは日本にとって重大問題なのだが、国内政局は政争に明け暮れている。
同じようなことが1994年頃にあった。政治改革を旗印にして日本は細川政権、羽田政権と目まぐるしく国内政局が動いたが、この時に北朝鮮情勢をめぐって米朝関係は一触即発の状態にいっていた。
日本海に米第7艦隊が百隻近く集結したことを羽田首相は知らないでいた。北朝鮮の核計画を阻止する米朝交渉は暗礁に乗り上げ、韓国政府は戦争に備えて大規模な民間防衛訓練を実施すると発表している。ソウル株式市場の株価は二日間で25%も下落。(ドン・オーバードファー「二つのコリア」)
ペリー国防長官はクリントン大統領に「全面戦争になった場合、死者は百万人、米国人も八万から十万人が死亡、米国が負担する軍事費用は1000億ドル」と報告している。ワシントンとソウルが緊張状態にあった時に東京はまったくのツンボ桟敷。
日本の政権は今と攻守がところをかえていた。政権の主役は小沢一郎氏。野党の自民党は日本海の緊迫状態を知るよしもない。もっぱら羽田政権を倒すために政権側から社会党を引き込む”木に竹を接ぐ”政権工作に血道をあげていた。
カーター訪朝が実現しなかったら日本は朝鮮半島の戦争に巻き込まれていた。国内政局にうつつを抜かす政治の愚かさがまた繰り返えされようとしている。
<【ワシントン28日共同】米下院外交委員会のロスレティネン共和党筆頭委員は28日、北朝鮮が黄海に向け短距離ミサイルを発射したことについて、6カ国協議参加国を威嚇する「敵対的行動」と非難する声明を発表した。
声明はミサイル発射について、北朝鮮が核計画の完全申告を拒否している事実から国際社会の「目をそらす」ことが狙いと指摘。こうした行動は、北朝鮮が核廃棄に応じる意思がないことを一層明確にしていると批判した。(ワシントン共同)>
<ソウル――北朝鮮が28日、黄海へ向け3発の艦対艦ミサイルを発射した問題で、韓国国防省当局者は29日、北朝鮮が新たなミサイル試射を準備している兆候はないとの見方を示した。
韓国大統領府の報道官は、28日の発射を受け、通常の訓練の一環との見方を示しながら、情勢を注意深く監視していると述べた。北朝鮮によるミサイル発射は昨年6月の短距離弾道ミサイル以来のことだった。
今回のミサイル発射については、今年2月に就任、前政権の対北融和政策の見直しを進めている韓国の李明博大統領を揺さぶる狙いがあるとの見方もある。大統領は、経済協力の提供を核問題の進展や人権改善と絡めている。(ソウルCNN)>
<【ソウル中島哲夫】朝鮮中央通信によると、北朝鮮は29日、韓国側が金泰栄(キムテヨン)合同参謀本部議長の北朝鮮に関する発言を取り消し、謝罪しない限り、軍人を含む韓国側当局者の南北軍事境界線の通過を遮断すると宣言した。南北将官級軍事会談の北側首席代表から韓国側首席代表にあてた通知文で通告した。
開城や金剛山での南北対話には韓国側当局者が軍事境界線を越える必要があり、通過不能となれば交渉に大きな支障が生じる。
ここ数日の黄海上での短距離ミサイル発射、開城工業団地からの韓国政府職員追放など強硬姿勢をエスカレートさせたもの。さらに緊張を高める可能性がある。
金議長は26日、就任前の国会人事聴聞会で「北朝鮮が核兵器で韓国を攻撃しようとした時どう対応するか」との質問に「核兵器が韓国側で作動(爆発)しないようにするのが目標」と答弁し、緊急時の軍事攻撃の可能性を示唆。北朝鮮はこれを「宣戦布告も同然の無分別な挑発行為」と非難し、韓国の「先制攻撃」の動きにはより迅速かつ強力な先制打撃で応じると断言した。(ソウル毎日)
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