新型インフルエンザA(H1N1、流行性感冒=流感)に関する6/5現在(23:00更新)のWHO(世界保健機構)のデータを示す。
・感染確認国:73カ国
・死者確認国:6カ国
・感染者数:24260人
・死者数:136人
《米州》25カ国
《欧州》28カ国
《中東》7カ国
《アフリカ》1カ国
《オセアニア》2カ国
《アジア》10カ国
ヒトからヒトへの感染が確認できた国は、14カ国(メキシコ、アメリカ、スペイン、イギリス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、ペルー、オーストラリア、パナマ、チリ、エルサルバドル、中国)だった。
この中には、6/7、南半球では初めての死者が確認されたチリも含まれている。この結果、死者が発生した国は、メキシコ、アメリカ、カナダ、コスタリカ、チリの6ヶ国で、136人となった。
日本国内では、ヤマを越えたというほっとした気分があるが、これは意地の悪い見方をすれば、季節インフルエンザ感染にふさわしい自然条件、つまり寒気が和らぎ、気温が高くなってきたためで、決して厚労省がい
うように、一連の対策が効を奏した結果ではない。
その証拠に、これから秋口に向かう南半球で、100人以上の感染者が確認されるところが増え始めている。
先述の如くチリでは初の死者が確認されている。またオーストラリアでの感染者はここ数日で数百人増え、876人に達したと報告されている。
南半球の各国でのこのような動向をふまえ、世界保健機関(WHO)のケイジ・フクダ事務局長補代理は6/2日、「新型インフルエンザが英国、スペイン、日本、チリ、オーストラリアで拡大を続けていることから、世界の状況はパンデミック(世界規模の蔓延を表すフェーズ6に近づきつつあると述べている(ジュネーブ、ロイター)。
さらに、ブログなどに寄稿している複数の防疫専門家によれば、インフルエンザは、2年は続く。ということは、この秋口以降、第2波が南半球から北半球へ回帰してくる可能性がきわめて高い。さらに悪くすると、
来年秋口には第3波もありうるという。
その際、2波、3波では今年世界を襲ったインフルエンザウイルスは変異を遂げ、(毒性が上がって)過去の防疫対策が効かなくなっている恐れがあるとも指摘されている。
仮に、今回の経験から大量のワクチンを生産し、備えたとしても、これが効かない。さらに、ウイルスの特効薬とされているタミフル、リレンザを多用すると、薬に対する耐性も獲得して、より強力な毒性や感染力を発揮するかもしれないという。
そうなると感染力は強くとも弱毒性だった今回のインフルエンザ騒動を、はるかに上回る深刻な社会的混乱をもたらすことになる。
こんな予測を、「杞憂」だとはいえない混乱を私たちは経験した。ランダムに箇条書きにすると、たとえば、
・WHOが「意味がない」と再三、名指しで警告したのにもかかわらず、「水際防疫オンリー」「マスク着用」の作戦に偏重し、国内防疫体制を地方自治体任せにした結果、医療現場や社会生活に無用な混乱をもたら
したこと。
・診察の対象者を非科学的な基準で限定したこと。検査・診察の対象を、
○ 7日以内に感染者と濃厚接触のあった者、
○ 7日以内に、新型インフルエンザが蔓延している国又は地域に滞在もしくは旅行した者に限った結果、国内での感染者を見逃し、感染を拡大してしまったのだ。
・発熱外来の体制が整備されなかったこと。病院は、抵抗力の乏しい患者の集まる施設であるが、ここにインフルエンザ患者を集めるようなリスクを厚労省は平気で指示している。
インフルエンザの外来患者と他の患者を分離診察する施設もなく、まるで野戦病院のように中庭にテントを張って診療に当たった病院も少なくなかった。
それでなくとも手一杯の医師に過酷な勤務を強いられただけでなく、医師自身が感染するリスクは、完全に無視された。挙げればキリがないが、元を糾せばお粗末な「新型インフルエンザ対策行動ガイドライン」は「鳥インフルエンザ」の際のものを机上で手直ししたものだ。
役に立たなかっただけでなく、その都度、方針・対策を修正・変更、地方に雨霰のように矢継ぎ早に「事務連絡」の形で指示をし、現場に混乱をもたらした。
幸い死者を出す最悪事態には至らなかったが、私たちは、混乱の中から2つの貴重な学習をした。
その1。
国の医療制度を設計し、防疫対策を作文した厚労省の医系技官がいかに無能力であるかが明らかになった。第2波までに、ヒト、モノ。カネの手当て、国内医療体制の整備を急がねばならない。
その2.
「国防」というと、やれ核だの最新航空機だの、防衛省所管の“鉄の装備”だけが議論される傾向があるが、じつは日本はテロに対しては、赤子のように無防備であることが明らかになった。
「NBCテロ」という言葉がある。
N:Nuclear=核
B:Biological=生物
C:Chemical=化学
この3つである。この中で、BとCテロ防衛に向けて政治を動かすために、政治担当ジャーナリストの果たす役割は大きい。どうせ、どっちつかずの政局で、ごたごた不毛の議論をしている場合ではない。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト
3457 新型流感は第2波に備えよ 石岡荘十
未分類
コメント