3695 北朝鮮とミャンマーの軍事協力 古沢襄

<[バンコク 21日 ロイター] クリントン米国務長官は21日、北朝鮮とミャンマーの軍事協力に対し懸念を表明した。
長官は、記者団に両国の核開発協力に関する報道について質問され「われわれは、北朝鮮とミャンマーの軍事協力に対する懸念が高まっていることを認識しており、これを極めて重大に受け止めている。これは地域にとって不安定要因となり、近隣諸国に直接脅威を与えることになる」と述べた。
長官は今週、プーケットで行われる東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)に出席する。(ロイター)>
一九八三年の「ラングーン事件」・・・ドン・オーバードーファーは「二つのコリア」で詳しく書いている。韓国の全斗煥大統領はビルマ(現在のミャンマー)を公式訪問し、ビルマの国父・アウン・サン氏の墓に花輪を捧げることになっていた。
この動きに危機感を抱いたのは北朝鮮の金日成主席。同じ社会主義路線を歩んできた北朝鮮とビルマは友好関係にあった。全斗煥のビルマ訪問は、両国関係に楔を打ち込むことになる。
金日成は偵察局第711部隊に命じ、全斗煥暗殺を計画を立てた。計画立案は、金日成の長男・金正日だといわれている。同部隊のジン・モ少佐、カン・ミンチョル上尉、キム・チホ上尉の三人がアウン・サン廟の屋根裏に遠隔操作式のクレイモア地雷を仕掛け、全斗煥一行の到着を待った。二日前のことだといわれる。
全斗煥到着に先立ち、駐ビルマ韓国大使が公用車で会場に到着した。オーバードーファーによれば、一人のビルマ人ラッパ手が儀式の練習でラッパを吹いた。これをジン・モ少佐は献花式の始まりと勘違いして、遠隔操作式のクレイモア地雷を爆発させた。
すざまじい爆発で四人の韓国閣僚、二人の大統領補佐官、韓国大使が吹き飛ばされ、即死してる。犠牲者は十七人の韓国人、四人のビルマ人に及んだ凄絶なテロ事件となった。全斗煥は乗っていた車の到着が二分遅れたため、危うく難を逃れた。
事件に衝撃を受けたビルマは、ビルマ警察が追跡捜査に入り、北朝鮮工作員の犯行と断定、三人を追い詰めて銃撃戦の末、ジン・モ少佐を射殺、他の二人は重傷を負って逮捕されている。ビルマ警察の追及によって、二人はテロ作戦の全容を自供した。
これに対して北朝鮮は、全斗煥が北朝鮮を陥れるために起こした自作自演の事件であるとテロ作戦を全面的に否定した。しかしテロ実行の場に国父・アウン・サン廟が使われたビルマの怒りは納まらない。ただちに北朝鮮との国交を断絶、北朝鮮の承認も取り消した。
そして両国の国交断絶は二十四年続いていた。
昨年四月に両国の国交が回復したが、アウン・サン・スーチイ女史の監禁でミャンマーが国際的な孤立の状態に置かれた現状と関係がある。核保有を捨てない北朝鮮も国際的な孤立の状態にある。ミャンマーは北朝鮮から重火器の供給を受け、北朝鮮はミャンマーから食料の供給を受ける関係が出来た。
韓国の朝鮮日報はミャンマーの元将校の情報として、北朝鮮貨物船「カンナム号」がミャンマーに向かっている目的が、搭載された武器と食糧を交換するためである可能性が高いことを報じていた。
クリントン米国務長官が北朝鮮とミャンマーの軍事協力に対し懸念を表明したのは、この様な背景がある。
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