【北京=矢板明夫】マレーシア航空機撃墜事件で欧米諸国がロシア批判を強めるなか、中国は「根拠のない非難合戦」(劉結一国連大使)はすべきでないと中立を装いつつ、ロシアを擁護する態度を取っている。ただ、中国が抱える国内外の事情を考慮すれば、ウクライナ問題などのためにロシアと簡単に手を組めない事情もありそうだ。
中国メディアによると、アルゼンチンを訪問中の習近平国家主席は18日、フェルナンデス大統領と共同記者会見に臨んだ際、事件にふれて「客観的で公正な調査を通じて真相解明すべきだ」と述べた。ウクライナの親露派による犯行の可能性が浮上する中、あえて中立の立場を表明した形だ。
また、同日に開かれた国連安全保障理事会で、劉結一大使は「真相が明らかになる前に急いで結論を出すべきではない。主観的な推測で互いに非難すべきではない」と強調した。欧米諸国の首脳から対露批判が相次いでいることに不満を表明し、ロシアをかばうメッセージとも受け取れる。
北京の共産党幹部は、「ロシアを国際社会で孤立させることは間違いだ。中国は中立の立場を取るだけで、ロシアに大きな貸しをつくることができる」と話す。ただ、中国には最近のロシアの動きを支持できない事情もある。欧米や日本は認めていないが、ウクライナ南部クリミア自治共和国が住民投票でウクライナからの離脱を決め、ロシアが併合したからだ。
中国は新疆ウイグル自治区、チベット自治区など少数民族地域で独立問題を抱えているほか、香港の市民団体は6月下旬、民主化を要求する住民投票を実施。中国当局は「投票は無効」と表明した。国内の民族問題に飛び火する可能性を考えれば、中露友好を必要以上にアピールするのは避けたいものとみられる。
また、3月のマレーシア機失踪事件で150人以上の中国人が行方不明となったことも、対応を難しくしている。今回撃墜されたのもマレーシア機だったことで事件への関心は高く、欧米メディアの報道も中国語に翻訳され、インターネットで読まれているようだ。
大手ポータルサイト、鳳凰ネットが行った世論調査では、約72%は今回の撃墜はロシア側の犯行と認識。「3月の事件もロシアの仕業に違いない」といった書き込みもみられた。当局のロシア擁護の姿勢に不満を持つ市民もおり、「悪魔と手を組むのか」といった書き込みも寄せられている。(産経)
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16625 ロシアとの友好、アピールしたいけど…中国のジレンマ 古澤襄
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