日中両国が関係改善に向けて合意した合意文書は、四点についていかにも日本的な玉虫色の文言で綴られている。
島国の狭い国土で人口稠密な日本では、どこかで妥協する智恵と文化が長い歴史の中で育ってきている。それを表現する日本言葉は、最後まで血で血を洗う歴史を経てきた大陸の文化や言葉とは異なる。
六〇年安保を挟んで自社両党が激しく対立した国会で、自民党や社会党の担当記者をそれぞれ経験したのだが、両党の合意文書なるものをいくつも読んでみて、どちらにも都合がいい解釈できる日本語なるものの”妙”に感心した記憶がある。
白か黒かをはっきりさせる言うなら二進法のデジタル思考とは異なり、白色と黒色の間の灰色で問題を処理するアナログ思考が戦前までの日本の文化であった。しかし、これは西欧的なデジタル思考で決着をつける手法には劣る側面があるのは否めない。
やはり二百六十年に及んだ江戸時代の鎖国政策の影響があると私は思っている。さらに言うなら世界史の中で日本ほど封建時代が長期にわたった国はない。
鎌倉北条氏が制定した貞永式目から徳川幕府が崩壊した七百七十余年を日本の封建時代とするならば、その間に民衆が思索したり、哲学したりする習癖が育たなかった。三木清は日本には人生観や処世観はあるが、哲学がない伝統国家だと喝破している。
それは日本の伝統が持つ”負”の側面だが、同時に”灰色”が持つプラスの側面も合わせ持っている。
白か黒かでにっちもさっちもいかない対立の局面で、局面打開の便法として灰色的処理は日本のお手の物といえる。同時に灰色処理は一時的な局面打開には役に立つかもしれないが、根本的な打開策にはならない”弱さ”も残している。
つまり日中の関係改善を唄った合意は、言葉の上では喜ばしい文書なのだが、実際の対立要因は残ったままである。それを両国がこれから本格的な関係改善にどう取り組むか、むしろ問題はそっくり先送りされていることに灰色国民は気がつくべきである。
■日中関係改善に向けて合意文書 発表
政府は、中国政府と合意した「日中関係の改善に向けた話し合いについて」という文書を発表しました。
日中首脳会談の実現に向けて焦点となっていた沖縄県の尖閣諸島を巡る問題について、「双方は異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた」としています。
政府は、これまで日中両国間で日中関係の改善に向けた静かな話し合いを続けてきた結果、以下の4つの点で意見の一致をみたと、7日夕方発表しました。
それによりますと、双方は、1972年の日中共同声明など日中間の4つの基本文書の諸原則と精神を遵守し、日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認したとしています。
また双方は、歴史を直視し、未来に向かうという精神に従い、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみたとしています。
そして、日中首脳会談の実現に向けて焦点となっていた沖縄県の尖閣諸島を巡る問題では、双方は、尖閣諸島など東シナ海の海域で、近年、緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみたとしています。
さらに双方は、さまざまな多国間・二国間のチャンネルを活用して、政治、外交、安全保障の分野の対話を徐々に再開し、政治的相互信頼関係の構築に努めることで意見の一致をみたとしています。(NHK)
杜父魚文庫
17674 日本的な日中関係改善の合意文書 古澤襄
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