155 大阪京都で市長減給 渡部亮次郎

<同和対策不祥事 大阪市109人処分 元局長を諭旨免職
旧芦原病院問題や飛鳥会事件など同和行政をめぐる一連の不祥事を受け、大阪市は2006年8月29日、元健康福祉局長の中山芳樹・ゆとりとみどり振興局理事(58)を諭旨免職、局長級2人を停職処分とするなど、外郭団体も含む職員ら計109人の処分を発表した。関淳一市長ら3役も給与の一部を減額・自主返納する。
不祥事は制度的欠陥や組織の構造的問題が誘引したとして、コンプライアンス(法令順守)を徹底する具体的措置を盛り込んだ再発防止策もまとめ、不適切な補助金計6件について職員や交付先に損害賠償請求する方針も明らかにした。
3役を除く市職員の処分者は計99人。中山理事のほか、当時の健康福祉局理事の寺本良平・中央卸売市場長ら局長級2人を停職(1カ月)、局長級8人と部長級4人ら計22人を減給10%(1~3カ月)とした。地方公務員法上の懲戒処分は44人にのぼった。
3役では、関市長の給与減額50%(6カ月)のほか、柏木孝、井越将之両助役と小西寿昭収入役が給与の10%(3~1カ月)を自主返納する。
外郭団体でも飛鳥会事件にかかわった市開発公社が社長ら幹部4人を減給処分などとすることを決め、芦原病院への不正な迂回融資に関与した市社会福祉協議会も幹部2人を戒告処分などにした。
一連の不祥事の背景として、市は法令順守意識が不徹底で、同和対策関連事業に対する偏った認識があったと指摘。関係局の補助金支出について検証する機能が不十分だったなどと結論づけた。
再発防止策はこうした反省を踏まえ、日常的に弁護士が相談を受ける態勢をつくるとともに、公金支出をめぐる抜き打ちの内部監査も実施、財政局との合議制で補助金支出を決めることなどを盛り込んだ。
◇関淳一市長の話 「公金の支出に対する市民の信頼を大きく損なうことになり、本当に申し訳なく思っている。組織ぐるみの問題であり、2度とこのような事件を起こさないための再発防止策を実施していかなくてはならない。
同和関連団体に対しても、特別扱いをすることがむしろ差別を助長する。今後は特別扱いをしないというメッセージを発していきたい」
◇【視点】
大阪市役所を揺るがした同和関連事業をめぐる不祥事を受け、市は、問題を起こした職員の処分だけでなく、問題を見過ごした上司に対しても、監督責任だけでなく、「不作為責任」を問う処分に踏み切った。
これまで、刑事処分を受けたり、公金で私腹を肥やした職員が免職処分になったケースはあるが、職務上の失策を問い、免職処分としたのは初めて。過去の処分に比べると確かに厳しい処分だ。
同和関連の不祥事が相次いだ理由について、関市長は「市役所内部の組織風土に原因があった」と指摘。今回の処分によって、「前例を踏襲した場合でも、不正の放置は許さない」という市の姿勢を示し、市役所内にはびこる前例踏襲主義に一石を投じようとした狙いがうかがえる。
それでも、その内容は十分とはいえない。元局長に対し、懲戒免職でなく、退職金が支給される諭旨免職にとどめたが、市民感情と照らし合わせると議論の余地がある。一方、再発防止策も形式的な側面があることは否めない。
問題は、同和行政を舞台にして起きた。にもかかわらず、対策は一般的な職員に対する法令順守意識の徹底や公金支出のチェック体制の強化などにとどまり、同和関連事業に対する職員の意識改革に迫る具体的な内容は盛り込まれなかった。
「不正をしてでも同和行政を優先する」という感覚すら持っていた市職員の意識改革を促し、長年にわたり構築された組織風土を変えるにはインパクトに欠けると言わざるを得ない。
市は今回、不作為責任を問う新たな処分方針が不正の抑止力になると期待している。関市長はこの日の会見で、同和行政をめぐる不祥事について「区切りにしたい」と語ったが、再発防止を進めるための議論は緒に就いたばかりだ。(河居貴司)
◇【用語解説】旧芦原病院問題と飛鳥会事件
同和地区の医療改善のため昭和38年に開設された旧芦原病院が平成17年12月に経営破綻。補助金の不正流用や迂回融資が問題となり、支援していた大阪市幹部の関与も判明、背任容疑で関淳一市長らが告発された。
一方、市の事実上の同和対策事業に絡む財団法人「飛鳥会」理事長らの業務上横領・詐欺事件では、健康保険証詐取にかかわったとして詐欺罪で市幹部が先月、起訴された。
駐車場運営委託の契約で市が同会を優遇するなど、同和対策事業のずさんな実態が明らかになった。>【2006/08/29 大阪夕刊から】(Asahi com 08/29 17:02)
「不正をしてでも同和行政を優先する」という感覚すら持っていた市職員の意識に問題があると朝日新聞は解説しているが、解説は同時に再発防止策には「同和関連事業に対する職員の意識改革に迫る具体的な内容は盛り込まれなかった」としている。
と言う事は、問題はなんら前進しておらず、改革と腐敗は同時進行。事件は再発が確定的ということだ。或いは誰が為政者になってもこの問題は解決不能と言うことだ。
隣の京都でも本質的には同じ事件がおきて市長初め77人を処分したが、問題の根源は絶たれなかった。
<京都市、不祥事問題で市長を含む77人処分
職員の相次ぐ不祥事を受けて、京都市は31日の臨時議会で、桝本頼兼市長を含む計77人の処分を発表した。市長は減給50%(6カ月)と最も重く、本会議の冒頭で「市政への信頼を著しく失墜させ、重ねて深くおわび申し上げる」と謝罪した。
覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕者が相次ぐ環境局などの現業職員については、来年度から採用を凍結するなどして要員を半減させ、管理を強化する再発防止策も発表した。職員の削減に伴い、ごみ収集業務の半分を民間委託する。
処分の内訳は、助役に当たる副市長3人と収入役は減給10~20%(いずれも3カ月)。環境局長や保健福祉局長ら局長級4人を含む幹部ら8人についても減給10%(1カ月~3カ月)とした。このほか、戒告26人▽厳重文書訓戒13人▽局区長厳重注意25人。
「抜本改革大綱」とした再発防止策では、不祥事の一因として、同和地区住民の就労機会などを保障するための「優先雇用」をあげ、「要員の確保を最優先させてきたため、公務員としての適格性を十分にチェックしない『甘い採用』があったと言わざるを得ない」と明記した。
また「不祥事の兆候」として、借金による給与の差し押さえなどを具体例としてあげ、採用後の指導や研修、勤務実態の把握を強化するとした。警察OBらによる服務監察チームも発足させる。
組織改革では、ごみ収集にあたる11カ所の「まち美化事務所」を8カ所に集約するほか、犬や猫の死体を収集する「市民美化センター」とし尿を集める「生活環境事務所」を来年4月に統合し、犬や猫などの死体の収集業務は民間委託する。これらの施策によって、現在、約1000人いる現業職員を半減させるという。
京都市では4月以降、生活保護受給者向けの一時金詐欺や、覚せい剤の使用などで職員10人が逮捕され、懲戒処分などで12人が免職になっている。>(Asahi Com 2006年08月31日15時36分)
京都新聞Web 31日に依れば市長は「過去ときっちり決別し、全庁一丸となって信頼回復に取り組む」と強い決意を述べた、と京都新聞は書いているが、歴史の街が同和とだけ過去と別れられるとは、科学的にもあり得ぬことである。大阪も京都も「差別をした」過去に祟られている、としか言いようがない。

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