小生、昔から不思議に思っていたのだが、アメリカの自動車メーカーが日本でなぜか左ハンドルの車を売っているのだ。アメ車で初めて右ハンドルを導入したのがジープで、それも15年ほど前ではないか。
それを広告で知ってパンフレットを希望したらセールスマンがやってきたので、ああ、営業とはこういうものかとちょっと驚いた記憶がある。
日本で売ろうと思えば日本に合わせた車を造るというのは基本中の基本だが、どういうつもりで左ハンドルなのだろう。「米国仕様が最高なのだから、日本人は左ハンドルに慣れればいいだけの話」ということか。
自動車評論家の舘内端(たてうち・ただし)氏が日経のサイトに「米国ビッグスリー壊滅。次は……」と題してこう書いている。
<米国のマーケットにしか通用しない巨大なクルマを生産していた米国の自動車メーカーには、輸出志向がほとんどありません。それは、自国のマーケットが十分に大きく、自分たちの作るクルマが十分にニーズに応えていたからでしょう。ビッグスリーによって米国のマーケットはほとんど占められていました。
したがって、自国の経済が低調で自動車販売が低迷しても、日本やヨーロッパのように他国に輸出して経営を安定させるということが困難です。しかも、今回のように儲け頭のピックアップ型トラックや大型SUVが軒並み販売台数を低減させているとなると、ビッグスリーの経営は深刻にならざるを得ません。
今回のビッグスリーの経営危機は、サブプライム問題だと思われがちですが、数年前からのガソリン価格の高騰で、すでにその兆候が現れていました。問題はもっと根が深いといえます。
その問題とは、まさに原油価格の高騰であり地球温暖化に伴うマーケットの変質でしょう。大きくて燃費が悪くCO2排出量の多いクルマを中心に生産してきたビッグスリーが、経営危機に陥ったとしても、当然ともいえます。>
なるほど。世界に大いに輸出しようなんて気はさらさらなかったのだ。世界に通用しないアメリカ国内向けの車しか造らなかったというわけ。巨大な井の中の蛙、もっと巨大な地球を知らず。グローバル化に遅れをとるのは当然だ。
「北米車在庫、100日分超す 日米6社、00年以降で最悪」(日経2008/11/26 7:00)という記事があった。
日本では「車の在庫」なんてほとんど聞かない。基本的に新車は注文生産だからだ。以前、トヨタの広報室に聞いたが、同じカローラでも外装の色、内装の仕様、足回りなどで理論的には2万通りになるから「まずまったく同じカローラというのはありませんね」。
アメリカの自動車市場は電気製品と同じで、注文生産の対極にある「見込み生産」である。倉庫代というか保管料もかかるから無駄なコストが多いのだろう。
<自動車の販売不振が深刻化するなか、最大市場である北米での在庫が2000年以降で最高水準となっている。日米大手メーカー6社平均の10月末の北米在庫日数は、前年同月に比べ45%増の103日分。適正水準(50―60日)の倍近くに膨らんだ。各社は在庫圧縮に向け値引き販売や減産に着手しており、これらが足元の収益を一段と圧迫する可能性もある。>
ビッグスリーの在庫は平均115日という。GMのサイトを見たら「赤札の車を買ってグリーン(ドル)を節約!」というキャンペーンを実施している。キャッシュが欲しいからなにやら投売り模様である。
ビッグスリーは一旦つぶして出直すしかあるまい。債権者と労働者、それに年金と保険でつながっている退職者に大幅に譲歩してもらい、身軽になって再建を図る道以外にないだろう。油断をすれば日本メーカーも轍を踏むからご用心を。
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2524 巨大な田舎者、アメリカ 平井修一
平井修一
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