20%前後の低支持率にあえぐ麻生太郎首相だが、自民党内の「反麻生」の動きは急速にトーンダウンし、逆に「結束力」が生まれている。このあたり、政治の力学として面白いといってはなんだが、きっちりと見据えていく必要がある。
13日がまず勝負どころだ。第2次補正予算案と関連法案が衆院で採決される。自公与党の単独可決となる見通しだが、造反は渡辺喜美氏だけにとどまりそうだ。
これで補正予算は30日後に自然成立し、関連法案も60日後に衆院再可決が可能になる。年度内成立が確定し、定額給付金が3月中旬から支給されることになる。
これと同様の展開が、来年度予算案、関連法案でも実現できるかどうか。それが第2のヤマ場として、2月末から3月初めにかけてやってくる。
これができれば、本予算の年度内成立(4月第1週なら事実上の年度内成立と見なされる)が確定し、関連法案も遅くも5月連休明けには成立することになる。
渡辺氏の離党を前提とすれば、16人以上の造反議員が出ない限り、このシナリオで進むだろう。麻生首相があまりの低支持率に気力を喪失して政権を放棄すれば別だが、この首相にそうした兆候は見られない。
民主党の小沢一郎代表は早期解散・総選挙を確約すれば予算成立に協力してもいい、といった発言をした。いわゆる「話し合い解散」だ。
これは小沢氏の「あせり」と見ることも可能だ。来年度予算案・関連法案の衆院強行可決がそうした日程で進めば、民主党は打つ手がない。自公与党としては、衆院通過さえやってしまえば、参院でいかに審議が混乱してもじっと耐え忍び、時間を待てばいい。
「4月6日解散、26日(大安!)総選挙」説が一部で出ているのは、話し合い解散のケースを想定してのことだ。来年度予算の衆院通過がずれ込んだ場合、3月中旬から下旬にかけて話し合いが行われる、という読みによる。
「4・26総選挙」の可能性に含みを持たせておくことは、麻生首相にとって悪い展開ではない。与野党問わず、議員を選挙区に張り付けさせ、「国会どころではない」というムードをあおることができる。
麻生首相にとって低支持率は確かに痛手だが、政権が倒れるのは自民党内に「麻生ではやっていけない」という機運が盛り上がることが前提だ。「早期解散なら自民惨敗」という観測が出回っている以上、先送りを選択しない手はない。景気が多少でも上向いて、なんとかいけるというタイミングを周到にねらうはずだ。
以上は、「民意を問え」という「べき論」の是非とは別次元のリアリズムで見た政局観である。
<<追加>>
第二次補正予算案と関連法案が13日、衆院を通過した。
衆院は強行可決、参院ではたなざらしになってもじっと耐える、60日過ぎたら衆院で3分の2で再可決・・・という麻生首相の国会運営方針がこれで固まったことになる。
予算案は30日で自然成立するから、2月12日午前零時に成立する。関連法案は3月14日に衆院再可決が可能になる。
渡辺喜美氏が造反して離党。同じく造反した松浪健太氏は離党までは考えていないようだ。いずれも選挙区事情を考えてのことだろう。渡辺氏の栃木3区は民主党候補が決まっていない。松浪氏の大阪10区の相手は社民党の辻元清美氏だ。造反によって、自民離れ票を吸収できる。
これまで自公与党は衆院の3分の2ラインより17人上回っていた。だから、今後、造反議員がこの枠より少なければ、再可決方針は貫徹される。
3分の2ラインを下回るような規模での造反、離党、新党結成となれば、そのときはまったく違う展開となる。小沢氏の提起した「話し合い解散」が現実味を帯びてくる。
ともあれ、これまでにない政局展開だ。中川秀直氏も加藤紘一氏、山崎拓氏らも、このところ妙におとなしくなってしまった。渡辺氏に呼応する動きも出ていない。
この分だと、解散前の自民分裂はないとみるべきか。となれば、やはりこの政権は多くのメディアが「政権末期」と書き立てるのとはウラハラに、したたかで意外なまでの粘り腰を見せると見ていたほうがよさそうだ。
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