新型インフルエンザのウイルスの姿がまだ分かっていない。妙な連想だが、中国の青海湖で折り重なって死んでいたインドガンのことを想いだしている。
インドガンはインド北部で冬を送る。そして暖かくなると北のシベリアにあるバイカル湖を目指して渡りを始める。中国の昆崙山脈を越えて東端にある青海湖に舞い降りる。そこで羽を休めて、再び北を目指して飛び立つ。
数年前のことだが青海湖で異変が起こった。多数のインドガンが水辺で死んでいる。調査の結果、鳥インフルエンザに冒されていたと分かった。
冬の間にインド北部でインフルエンザが流行していたのである。病気に冒されたインドガンも北に向かって渡りを始めたが、昆崙山脈越えで力を使い果たし、青海湖で力尽きたのであろう。夏のバイカル湖を見ることが出来ずに果てたインドガンの哀れさに心が痛んだ。
インドガンがどういう経路で鳥インフルエンザに罹ったか分かっていない。水鳥から伝染した「鳥から鳥」へのインフルエンザだと推定されている。「鳥からヒト」へ、さらには「ヒトからヒト」への感染が心配される様になったのは、後のことである。
鳥インフルエンザでもヒトのインフルエンザでも冬の一月、二月に集中して発生している。熱に弱いウイルスなのかもしれない。それだけに初夏の青海湖で発見されたインドガンの死因が鳥インフルエンザと聞かされて、少し不審に思った記憶がある。
メキシコで発生した豚インフルエンザも真冬の発生ではない。インドガンの鳥インフルエンザの時に感じた不審さが、メキシコでも最初の印象だった。春の終わりにやってきた新種のウイルスなのだろうか。
このウイルスは、日本でも流行ったAソ連型ウイルスに似ているという説がある。このウイルスなら日本にも免疫を持ったことがある人が、かなりいる筈である。北海道に多いのではないか。
インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型があるが、一度インフルエンザウイルスに罹ると、一定期間は強い免疫力を持つ。このところ冬を迎えるとインフルエンザに罹らない様に、病院でワクチンの接種を受ける姿が目立つようになった。
このワクチンは毒性を無くしたか、あるいは弱めた病原体から作られる。その弱い病原体を人体に注入することで体内に抗体を作る予防法。弱いとはいえ病原体を接種するのだから、まれに体調が崩す人もでる。
私は古希を越えてから毎年、予防接種を受けて七年目となったが、やはり接種当日に体調が悪いと日延べして貰ってきた。大事をとるに越したことはない。
豚インフルエンザという呼称もやめようという動きがある、”豚”といわれては、好物のトンカツを敬遠したくなる。新型インフルエンザというのが正しいのかもしれない。しかしAソ連型ウイルスだと確定すれば、新型ではなくなる。
Aソ連型ウイルスが猖獗をきわめた時に、日本に上陸するなら北海道の港町だといわれていた。ロシアの漁船が出入りするからである。やがて関東地方でもAソ連型ウイルスによるインフルエンザが発症している。
失礼な話だが、北海道の人たちはAソ連型ウイルスの免疫を持っているから良いが、本州には免疫を持っている人が少ないので、インフルエンザが大流行すると心配された。北海道旅行を見合わせた新婚さんもあった。
日本のインフルエンザウイルスの流行は、一月にA型、二月にB型といわれてきた。そのA型もA香港型ウイルスだった。そこにAソ連型ウイルスが加わって、A型も混合感染の様相を呈している。
面倒なので医者には聞き質していないが、接種しているワクチンは混合感染に効くものなのだろう。だが半年程度しか免疫が持続しないので、新型インフルエンザがAソ連型ウイルスによるものだとしても、今の私は免疫を持っていない。
新型インフルエンザが弱毒性という言葉も誤解を生む。感染の範囲が肺などに限られる性格を持つウイルスということで、弱毒性だから死亡率が低いという意味ではない。多くは肺炎の症状を悪化させて死亡している。やはり用心するに越したことはない。
日本の様な北半球の国はこれから夏を迎えるが、南半球の国は冬に向かう。南半球の国でのインフルエンザの流行も気にかかる。
<【ジュネーブ30日共同】世界保健機関(WHO)は新型インフルエンザ感染拡大の警戒水準(フェーズ)を「4」から「5」に引き上げたが、30日にはスイスでも感染を確認、感染確認は少なくとも12カ国に増加、世界的大流行(パンデミック)の正式認定を意味する「6」への引き上げも現実味を帯びてきた。WHOは、有効なワクチン開発に欠かせない、ウイルスの遺伝子構造の全容解明などに全力を挙げる。(共同)>
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