3990 近刊『中国分裂 七つの理由』 宮崎正弘

「中国の近未来をいま一度考えてみると、これまでの固定概念的な地方軍閥、地域対立、王朝の腐敗、衰退という文脈から分裂に至るというシナリオは遠のき、むしろ現代中国に拡がった新しい空間、すなわちネットにおける反政府言論というゲリラ戦争、イスラムの思想的連帯という見えない武装戦争、利権争いの集大成としての個別経済ブロック化、他方ではグローバル化に波に乗った資産の海外逃亡などが次の舞台の開幕を告げるであろう」(あとがきより)。
「つねに未来がリスクに満ちていると仮定すれば、わたし達は日常的に危機に対応するシナリオを幾通りも用意しておく必要があるだろう。賢者は最悪に備えるという箴言もあるように、中国が分裂しないという保障は何処にも存在しないのである」。
「米国も英国も分裂気味なうえ、カナダも恒にフランス語圏の分離独立運動を抱えている。イラクにはクルド族独立運動、グルジアにはオセチア、アブハジアという「国内国」との紛争、スペインにもバスク独立運動」
「フランスの人口学者、エマニエル・トッドは1976年にソ連の崩壊を予測した。当時、だれも彼の予測に耳を傾けなかった。あり得ないと踏んで、その仮説を嗤った。
ソ連を構成していた十五の共和国のうち、バルト三国(ラトビア、エストニア、リトアニア)はすぐに西側に飛び込み、カフカスのグルジア、モルドバ、アゼルバイジャンはモスクワ離れが激しく、そして”スラブ三兄弟”といわれたウクライナ、ベラルースもモスクワと袂をわかった。この趨勢をみていたイスラム圏中央アジア五ヶ国も便乗して独立した。カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンだ」。
この事態は中国の未来の分裂を予測させる。
「そもそもチベット、新彊ウィグル自治区、内蒙古自治区、旧満州はそれぞれが独自の歴史をもつ漢族とは異なる国家だ」。
「チトー大統領の強引な手腕で「国家」を形成したユーゴスラビア連邦は重圧な桎梏が消えると血なまぐさい殺戮を開始し、北からスロベニア、クロアチアがさっさとセルビアに反旗を翻し、ボスニア&ヘルツェゴビナとの紛争に手間取る間にモンテネグロとマケドニアも独立、セルビアが孤立した。加えてコソボが事実上の独立宣言をしており、ユーゴは六つの分裂から事実上は七つの分裂国家になる。
この伝でいけば中国が七つ前後に分裂するという議論はまったくおかしくない(本書の仮説は七分裂だか、必ずしも分裂後の中国が七つになるとこだわっているわけではない。五つかも知れないし、或いは十数に大分裂を引き起こすかも知れない)」。
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