7058 一人の党幹事長に権力が集中し過ぎる 古沢襄

中選挙区制度の弊害はひとつの選挙区で、同じ政党から複数の候補者が出て、それが派閥を生み、派閥政治の温床になる・・・小選挙区制度になればひとつの選挙区で一人の候補者しか立てられないから、派閥がなくなるというのが定説であった。
事実、派閥は弱体化している。派閥が弱体化した結果、候補者公認の決定権と政党交付金を握る党幹事長に権力が集中する状態となった。一見、合理的な選挙制度と政党のあり方のように見えるが、一人の党幹事長に権力が集中し過ぎるのは、正常な民主政治にとって好ましいことではない。
鳩山政権下における民主党の小沢幹事長の強大な権力集中は、鳩山官邸の力を上回るものであった。内閣は鳩山首相、党は小沢幹事長という棲み分けといわれたが、事実上は小沢独裁に近いものだったのは、誰もが知っている。
小沢氏が幹事長を退いたら急速に力を失った。そして今の民主党は党の実権をめぐって、岡田幹事長と仙谷党代表代理の力較べが始まっている。下手をすると党の二重権力を生みかねない。小沢氏も昔日の力を失ったが今なお党内に隠然たる影響力を保っている。派閥は形を変えて現れていると言っていい。
今、菅政権が行き詰まり、解散・総選挙に追い込まれたら、民主党は衆院306議席を失い、200議席前後に凋落するといわれている。だが、自民党が衆院の過半数を獲得する可能性は低い。そこから民主・自民両党による大連立が囁かれている。
民主・自民両党の大連立が成れば、巨大与党と少数の野党という政治地図ができるが、二大政党という構図は雲散霧消してしまう。小選挙区制度の目的には二大政党制度による政権交代という理念があった筈だ。
小選挙区制度を実施してみたら、当初は予想もしなかった弊害も内包していることが分かった。何よりも少数意見が圧殺され、権力維持のために二大政党による大連立によって”大政翼賛会”的な政治が生まれかねない。これなら派閥の弊害があっても中選挙区制度を復活させた方がいいという意見が出ている。
細川政権の頃、亡友の石川真澄氏(朝日)と小選挙区制度よりも三人制の中選挙区制度の方が、日本の民主政治にとって好ましいと気焔をあげたものである。三人寄れば派閥が生まれるのはギリシャ・ローマ時代から続いていると、派閥の弊害は別の方法で防ぐべきだと意見が一致した。
一人の党幹事長に権力が集中する小選挙区の制度には、今もって賛成できない。
杜父魚文庫

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