7933 政府発表の信頼に傷 阿比留瑠比

<<海水問題から見える「大きな溝」>>
福島第1原発1号機への「注水中断はなかった」という東京電力の発表は、政府・東電統合対策室という最高機関の公式発表を、現場の原発所長が覆すという異例の展開となった。枝野幸男官房長官は「(東電には)事実を正確に報告してもらわないとわれわれも対応に苦慮する」と責任を現場に押しつけたが、政府と東電、現場の間に大きな溝があることは明らか。政府が現場を把握できていない原発事故-。不安と不信は広がるばかりだ。
「何が本当かよく分からない。あまりの事実説明の迷走に開いた口がふさがらない。日本政府に隠蔽(いんぺい)体質があるのではと(世界に)じわじわ広がっている」
自民党の谷垣禎一総裁は記者会見でこう憤りをあらわにした。対照的だったのは、日頃東電に厳しい枝野氏。「隠したりする必然性のない話なので…」と批判を抑え気味に語った。
海水注入をめぐっては、注入による再臨界の可能性を危惧した菅直人首相の言動がきっかけで中断されたとの指摘が政府部内や野党から相次ぎ、国会でも追及された。
それが第1原発の吉田昌郎所長の「独断」ならぬ“英断”にしろ、結果的に中断はなかったということになれば、首相を含め官邸サイドは免責される。
混乱が生じているにもかかわらず、官邸には東電の発表を歓迎するムードがある。「(現場判断で注水を続けたことは)問題ない。吉田さんは信用できる人。吉田さんなら(注水継続も)さもありなんだ」
政府高官は26日夕、吉田氏を称賛する形で幕引きを図った。統合対策室の発表訂正は政府の失点となるはずだが「結果オーライ」とむしろ満足げだ。
ただ、一件落着にはほど遠い。これだと事故当初に官邸サイドがしきりに流した「『原子炉が使い物にならなくなる』と抵抗する東電に、首相が海水注入を促した」というストーリーが完全に破綻する。
首相の言動が海水注入のブレーキになったという疑念自体も晴れていない。
この日の東電の記者会見でも、武藤栄副社長は首相の言動が東電側に中止圧力となったと明言する。
「(東電の)官邸派遣者が『首相が判断するという感じがある』という空気を伝えてきた」
「(午後7時25分頃)首相の了解を得て、ご理解いただけるまで中止しようと合意した」
さらに武藤氏は、首相の懸念が的外れだったことも示唆する。「(真水から)海水への切り替えで再臨界になる可能性が増えることは全くない」
「首相に海水注入が伝わり『横やり』が入ったのでは」「首相が一人で騒いだのでは」という記者団の質問には「そのようなことは認識していない」とかわした武藤氏だったが、政府と東電との間で意思疎通が欠けているのは確かだ。
統合対策室の発表はどこまで信用できるのか。現場はなお、多くのことで沈黙を守っているのではないのか。情報が不完全なまま事故対応を続けるしかないのだろうか。(産経)
杜父魚文庫

コメント

  1. yosi より:

    <結果オーライで済むのですか?>
    嘘と真が糾える縄のごとくなっているのでわかりにくいのですが、要するに
    ①菅総理は「原子力に格別の知識がある」ので海水投入は際臨界を引き起こす可能性があると判断し東電に対し海水使用許可を出さなかった。そのため「理屈」では55分間炉への冷却水注入は停止した。
    (中止にはまだらめさんという専門家の判断が元になっている。だがまだらめさんは、中止しろなとは言っていないと主張。つまり中止は菅総理の判断で行なわれたのでわしゃ知らぬ)
    ②しかし現場の吉田所長は注水停止は危険なので、淡水に続き海水を投入していた。
    つまり菅氏は明らかに「海水注水停止」命令を東電に伝え、次の海水注入開始命令発出までの55分間事故炉の冷却を停止させていたのです。
    これは菅総理がマイナス符合の掛け算で2回間違えたが、結果てきにはOKだったということです。東工大では結果さえ合えば途中の計算・思考経過はどうでもよくて、「正解」となったのですか? そんなことはないでしょう。菅さん、もうこれ以上惨めで浅ましい姿をこれでもかと世に晒すのはやめて、元の気楽な市民活動家にもどりましょう。それがあんたには相応です。

タイトルとURLをコピーしました