9485 ツイッターで注目浴びるロムニー夫人、大統領選のカギとなるか 古沢襄

米大統領選は事実上のオバマ大統領とロムニー前マサチューセッツ州知事の対決となっているが、各種世論調査でオバマ優位の予測が多い。とくにロムニー氏は女性支持率でオバマ大統領から大きく水を空けられている。
ところが、ロムニー氏の妻アン・ロムニー夫人がひょんなことから選挙戦に加わることとなり、アン夫人の支持が急増していると米ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えている。
きっかけは民主党の選挙戦略担当者が深夜テレビで「アン夫人は人生で一度も働いたことがない裕福な専業主婦」と口をすべらして、アン夫人の怒りを買ってしまった。翌日、ツイッターのアカウントを開設したアン夫人は「わたしは自ら家庭にとどまる選択をし、五人の息子を育て上げた。それは間違いなく重労働だった」とつぶやいた。
これが当たって、ローゼン氏の発言に多くが怒りを爆発させ、フォロワーはたちまち1万人に達したという。騒ぎを静めるためにミシェル・オバマ大統領夫人がツイッターに「どの母親も一生懸命働いているし、どの女性にも敬意を払うべきだ」とのメッセージを投稿する始末。
いまやロムニー陣営にとってアン夫人を選挙戦に不可欠なスターになったというお話。いかにもアメリカらしい話題である。
<米大統領選で共和党の候補者指名獲得が確実となったミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の妻アン・ロムニー夫人(62)は、重要な仕事を担っている。オバマ大統領に大きく水を空けられている女性支持率の拡大だ。今のままでは、オバマ大統領との対決で不利になる可能性がある。
アン夫人は12日、早速その仕事にとりかかり、女性の役割をめぐって終日激しく展開された議論で主役に躍り出た。
民主党の選挙戦略担当者、ヒラリー・ローゼン氏は11日、深夜のテレビ番組のインタビューで、アン夫人は「人生で一度も働いたことがない」裕福な専業主婦であり、女性の経済問題に対処する資格がないと批判した。さらにローゼン氏は、夫のロムニー氏は「女性を男性と平等とは見ていない」と断じた。
これに対して、アン夫人はテレビと簡易ブログ「ツイッター」で応戦した。アン夫人は11日深夜、ツイッターのアカウントを開設し、反撃に出た。「わたしは自ら家庭にとどまる選択をし、5人の息子を育て上げた。それは間違いなく重労働だった」。アン夫人がこうつぶやくと、ローゼン氏の発言に多くが怒りを爆発させ、フォロワーはたちまち1万人に達した。
民主党はローゼン氏の尻ぬぐいに奔走した。ミシェル・オバマ大統領夫人はツイッターに「どの母親も一生懸命働いているし、どの女性にも敬意を払うべきだ」とのメッセージを投稿、選対幹部のアクセルロッド氏はローゼン氏の発言は「不適切で失礼だ」と批判した。ローゼン氏は当初弁明を試みたが、12日に謝罪した。
最後にはオバマ大統領までもが仲裁に入る始末だった。「母親業ほど大変な仕事はない」。オバマ大統領はテレビのインタビューでこう述べ、「ロムニー夫人にはお会いしたことがないが、家族や夫を大切にしているすてきな女性のようだ」と取り繕った。
アン夫人はここぞとばかりに有利な立場を利用し、フォックス・ニュースの全国放送のインタビューで、選挙戦での自らの主張を繰り返した。「どのような生き方を選択しようとも、全ての女性を尊重すべきだ。女性は経済問題についても、自らの仕事や夫の仕事の安定性についても議論している」
今回の騒動は、ロムニー陣営にとって予期せぬ好機となった。失態だけが話題となるような政治家の配偶者が多いのに対して、ロムニー陣営はアン夫人を選挙戦に不可欠な財産と考えている。
高校時代のクラスメートはアン夫人を「感傷的」な人物と評している。アン夫人は、具体的な政治問題については語らない。これは選挙対策スタッフの指示によるものだ。だが、最近のイベントに参加する女性有権者の多くは、アン夫人に政治問題について尋ねることはない。それよりも、15年に及ぶ多発性硬化症との闘病について聞きたがる。女性が夫に頼ってもいいのだということを示すために、アン夫人はよく持ち出すのが闘病生活の話だ。
ロムニー夫人がターゲットとしている聴衆は、今年の大統領選のカギを握る有権者だ。民主党候補者は通常、共和党候補者よりも多くの女性票を獲得しているが、男性票は共和党よりも少ない。08年の大統領選では、オバマ氏も民主党に票を投じることの多い女性の票を多く獲得した。だが10年の中間選挙では、民主党は下院で過半数議席を失い、共和党は37年ぶりに民主党よりも多くの女性票を獲得した。
世論調査は、オバマ大統領が再び優位に立ちつつあることを示している。先月行われたウォール・ストリート・ジャーナルとNBCの共同世論調査によると、男性の支持率では、50%対44%でロムニー氏が6ポイント上回っている。だが、女性の支持率では、55%対37%でオバマ大統領に大きく引き離されている。その他の世論調査では、さらに大きな開きがある。
性別による投票傾向を調査している民主党の選挙戦略担当者、セリンダ・レイク氏によると、女性は通常、男性よりも支持政党が頻繁に変わりやすく、候補者の性格や人間性を重視する傾向がある。レイク氏は、アン夫人は、女性の仕事や債務に対する懸念、ロムニー家の家庭生活、自身の闘病体験を中心に働き掛けることで、女性有権者のロムニー氏に対する見方を覆すことができるかもしれないと話す。
世論調査によると、アン夫人はロムニー氏よりも有権者に好かれている。「夫でなく、妻に投票したいと思っている人もいる」と、08年の大統領選でロムニー氏のアイオワ州の選挙戦を指揮したダグラス・グロス氏は話す。(ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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