<[北京 2日 ロイター]北朝鮮の挑発行為がエスカレートする中、米国もF22ステルス戦闘機を韓国での合同訓練に派遣するなど、けん制姿勢を見せているが、一連の米国の動きはこれまでのところ、北朝鮮の最大の支援国である中国にとって深刻な懸念となっていない。中国政府は、事態緊迫化の原因が北朝鮮側にあり、双方の対立も差し迫ったものではないと考えているようだ。
中国は、日本や韓国における米国の軍事プレゼンスを長く懸案しており、特に米国がアジアへ軸足をシフトして以来、米国やその同盟国に包囲され「封じ込まれる」という不安を抱えている。
米軍が米韓合同軍事訓練にステルス型のB2戦略爆撃機やF22を投入したことについて、中国政府は冷静と自制を保つよう関係各国に求めたが、それ以外の反応は今のところ見られない。
また米国は先月、北朝鮮の挑発を受け、ミサイル防衛の強化を表明したが、その際も中国による批判は比較的控え目なものにとどまった。
上海大学の軍事専門家Ni Lexiong氏は、「米国の新たな動きはすべて、中国をにらんだものではない。中国にとって脅威となる可能性はない」と指摘。別の専門家も、米軍の韓国駐留は北朝鮮を抑止するために必要だと中国政府がとらえているため、批判は少ないと語る。
北朝鮮の挑発行為に対し、中国のウェブサイトでは、金正恩第1書記への批判が目立つ。中には正恩氏を「太っちょの3世」と表現する痛烈な批判もあり、中国版ツイッター「新浪微博」には、「デブのキム、お前がゲームをしている間に国民は飢え死にしている」と書き込まれた。
しかし、中国での過度な北朝鮮批判が、停職処分につながったケースもある。朝鮮日報は1日、英紙フィナンシャル・タイムズへの寄稿で「中国は北朝鮮を切り捨てるべきだ」と主張した学習時報の副編集長が停職処分を受けたと報じた。
一方、ロシアも北朝鮮問題に関しては、米国との敵対関係を表に出さないようにしているようだ。
ロシア政府は、朝鮮半島における軍事活動の拡大は悪循環を生むと警告するが、外務省高官は先月30日、ロシア通信(RIA)に「少なくとも現段階では、米国政府の発言は抑制されている。米国側の姿勢に冷静さも感じられる」と発言した。
中国のタブロイド紙グローバル・タイムズが先週末に実施したオンライン調査では、8割以上が朝鮮半島の現状は深刻なものではないと回答した。
北京大学のJia Qingguo教授は、「北朝鮮が今回のように激しい言葉を使ったのは初めてではない。彼らはおそらくゲームをしているのだろう。金正恩氏の性格や若さにも関係している」と分析。その上で「私は武器を使う事態に発展するとは思えない。その可能性は非常に小さい」と述べた。
強硬派の論客として知られる中国人民解放軍の羅援少将も先週、ブログで戦争の見込みは薄いとし、「米韓合同の軍事演習が終わり、金日成主席の誕生日の記念行事が近付けば、情勢は徐々にクールダウンしていくだろう」との見方を示した。
とはいえ、中国では米国への批判もいくつか出ている。軍事専門家のLi Jie氏は、中国共産党の機関紙「人民日報」に対し「最大の戦略目標は中国を封じ込め、発展を遅らせること。米国が最も懸念していることは、中国のさらなる経済的・軍事的発展だからだ」と強調した。
ただ、同氏の指摘は人民解放軍幹部の一致した見解とはみられていない。
同軍が朝鮮半島情勢に関する声明を出すことはなく、最近話題に上っていることは、綱紀粛正の一環として、軍用車のナンバープレートの使用を制限する取り組みに注力していることぐらいだ。
国営の中国新聞社は「中国国民は太極拳を心得ており、孫子の兵法を熟知している。そのため、軍も知らせる必要がないことは公表しないのだ」と、朝鮮半島情勢についての解説記事を掲載した。(ロイター)>
杜父魚文庫
12174 中国が批判の矛先を北朝鮮に、米軍の動きは静観 古澤襄
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