オバマ米大統領は”反面教師”ではないかと思う。平和を望み、戦争を嫌うのは人の共通の願いなのだが、それを達成するのは世界のリーダーの務めである。
だがその願いだけが強く出過ぎて、それを達成するリーダーの資質が見えてこない。だから困難な任務を避けて、逃げている”口先き反戦・平和主義者”に見えてしまう。リーダーたる資格がないと分かれば、国民の支持は急速に失われる・
ドン・オーバードファーの「二つのコリア」の第4章「カーターの戦慄」にベトナム戦争で手ひどい敗北を喫したアメリカで最初の大統領になった無名の前ジョージア州知事・ジミー・カーターの分析にかなりのページを割いている。
1975年、オーバードファーは東京でカーターと食事をしている。ニューヨク・タイムズのハロラン特派員も一緒だった。カーターは5年ほどの期間で、在韓米軍と在韓米空軍を全面撤退させたいと勢い込んで語っている。その代わりに韓国空軍の大幅な増強をするのだという。
驚いたハロランが「韓国空軍が北朝鮮を攻撃して、戦争を新たに起こすことのないように意図的に弱い水準に置かれているのだ」と説明すると、カーターは考え直し、撤退は地上軍だけにすると数日後に言い直したという。その在韓米軍の全面撤退も国務省と国防総省の反対でいまもって実現していない。
安全保障政策にこの程度の理解力と知識しかないジョージア州知事が強大な権力を持つ大統領になれるアメリカだから、同盟国の日本もよほど注意してかからねばならぬ。平和の使徒などと早のみこみで礼賛するのは誤っている。
カーターは内外政策の度重なる失敗、特にイランアメリカ大使館人質事件への対応の拙さにより国民の支持を失い、1980年の大統領選挙で共和党候補で元カリフォルニア州知事のロナルド・レーガンに選挙人投票で10倍近い差を、一般投票でも10パーセント近い差をつけられ敗北。一期だけで政権の座を去った。(ウイキペデイア)
歴代の米大統領で最低ランクと酷評される第39代アメリカ合衆国大統領だったが、平和を願い戦争を嫌う反戦大統領としては最高ランクの人物だったと私は思う。職業を間違ったのではないか。
そのカーターと同じような性格の持ち主がイラク戦争の戦後処理で失敗したアメリカに誕生したのも民主主義国家のサイクルなのかもしれない。カーターの不評がレーガンの圧勝を招いた様に、オバマの不評がアメリカの初の女性大統領ヒラリーを生むかもしれない。ヒラリーがオバマ政権下の国務長官を去ったのは、失われた米外交の復権を期しての行動だったと考えたい。
しかしオバマの優柔不断な外交が、いま世界で現れている極右ナショナリズム傾向とイラクで現れた過激派アルカイーダーの台頭だとしたら、ヒラリーとて復権外交の道は険しい。
オバマの弱気外交に乗じて、プーチンや習近平の強気外交を招いているのだから、米外交の行く手はさらに険しい。その帳尻を同盟国日本に求められても困る。レーガンのような役者を支える外交・安全保障のスペシャリストが、これからの二年間で台頭しないものか。そうでなければ、中国の経済破綻を辛抱強く待つしかない。
杜父魚文庫
16366 オバマとカーターの類似性と次の大統領 古澤襄
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