■クルド族が大油田地帯を掌握、自治区編入の動きへ
キルクークはイラクの大油田地帯。トルコとパイプラインが繋がった。ここ数日、シリア国境から出撃して突如、モスルを占拠した武装組織は、電光石火の下リア作戦を展開し南進を開始した。
スンニ派がネットに流している情報によれば、すでにスンニ派民間人1700名が処刑されているという(ウォールストリートジャーナル、6月15日)。
イラク政府は反攻作戦にのりだし、攻撃機などを動員し、武装勢力の拠点を襲撃した。このなかには間違えてクルドの拠点を誤爆、7名が死亡したともいう。
イラク政府は、武装勢力の南下を食い止めるのに必死である。このイラク政府を支援するのがイラン、そして米国も条件付きで支援を表明し、空母「ジョージ・ブッシュ」をイラク沖へ派遣し、オバマは「数日以内にいかなる軍事作戦の介入をするか決める」と発言している。
クルド族がおさえたキルクークには旧サダムフセイン政権時代のバース党の残党も混在しており、日頃からクルドとは仲が悪いものの両者はILICを当面「共通の敵」として共同戦線、マリキ政権もこの動きを見て見ぬふりをしている。そればかりか政府軍はキルクークの武器庫をクルドに明け渡して逃げた。
突然の軍事衝突によって周章狼狽するイラク政府、どう介入するか態度を決めかねる米国。北からILIC拠点を空爆するシリア、そしてせっかく開通させたパイプラインの安全を懸念するトルコという構造の中、もっか、最大の漁夫の利をえたのはクルドということになる。ともかく中東情勢、一寸先は闇。
杜父魚文庫
16381 ILIC(イラク・レバントのイスラム国)の武装蜂起で漁夫の利 宮崎正弘
宮崎正弘
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