17019 欧州の空が混乱の恐れ　　　　古澤襄

■大手航空会社のスト警告や火山噴火で
【パリ】航空大手エールフランスのパイロット組合SNPLは28日、9月に1週間にわたるストライキを実施する可能性があると警告した。欧州では独ルフトハンザもストを計画しているほか、アイスランドの火山噴火で空域が閉鎖され、空の便が混乱する恐れが出てきた。
旅行客が支出を控える中、エールフランスなどの欧州の航空大手は、アイルランドのライアンエアーや英イージージェットといった格安航空会社（LCC）との競争で苦戦を強いられている。
エールフランスは黒字化を目指し、経費削減策を検討している。
パイロット組合は、同社のコスト削減策に反対しているわけではなく、経費削減策の策定に自分たちが関与できずにいることへの不満を表明。スト呼びかけの理由として、経営幹部との「対話が全くなかった」ことを挙げた。
SNPLのリーダー、ジャンルイ・バルベル氏は、「会社は今すぐリストラを断行する必要がある」と認めながらも「われわれにも発言する機会が与えられるべきだ」と述べた。　
エールフランスは、組合との協議を約束。同社のフライト部門エグゼクティブバイスプレジデント、エリック・シュラム氏は、「労組との交渉は常に行ってきたし、今後も続ける考えだ。特にSNPLを中心とするパイロット組合と議論する」と話した。
エールフランスは2012年、3年にわたるリストラ計画を発表。これが奏功し、最近は赤字が縮小しているが、それでも14年1-6月期は6億1400万ユーロ（約841億円）の赤字を計上した。
同社は、コストを削減するとともにLCCからシェアを奪回するため、短距離・中距離路線の大半を子会社として設立したHOP!（オップ）とトランサヴィア航空に移管する計画を進めている。
エールフランスは、短距離・中距離路線の再編計画の詳細を10月末までにまとめる方針を表明。「新しい組織により各ブランドの業務が明白になり」、競争力のあるコスト構造を確保できると説明した。
一方、ドイツのルフトハンザ労組もストに踏み切る構えを見せている。ルフトハンザは29日、同社のLCC部門ジャーマンウィングスで退職金をめぐり労使が対立していることを理由に、100を超える便をキャンセルする可能性があると明らかにしした。
ルフトハンザでストが行われれば、今年で4度目となる。同社は、パイロットやセキュリティー、地上職の社員のストが原因で赤字を計上、通期の営業利益見通しをすでに引き下げている。
ストのほかにも欧州の空の便が混乱しかねない理由が現れている。
アイスランド消防庁は29日、同国のバルダルブンガ火山で噴火活動が始まったことを受け、火山の上空周辺の空域を閉鎖したことを発表。火山の警戒レベルを最も高い「赤」に引き上げた。
当局によると、レーダーではこれまで火山灰は観測されていない。また噴火に伴う揺れも小さかったことから、重大な被害をもたらす火山活動ではなさそうだとしながらも、監視を続ける考えを示した。
欧州では2010年にもアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山が噴火。約1カ月にわたり周辺の空域の飛行が禁止され、欧州の空が大混乱に陥った経緯がある。（米ウォール・ストリート・ジャーナル）
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