1964 ベトナム役人の収賄 渡部亮次郎

東京地検特捜部は東京の大手建設コンサルタント「PCI」が政府開発援助(ODA)事業受注のためベトナム政府当局者に数千万円の贈賄をしていた疑いがあるとして、ベトナムの司法当局に捜査協力を要請した模様だ(産経新聞 6月26日付)。
記事に依ればPCIはこのカネを捻出するため関係する香港法人に約1億8600万円を隠したり、内閣府に水増し請求をしたりしたとして26日までに首脳陣が起訴された。
特捜部はベトナムのODA事業受注をめぐる不正競争防止法違反での立件も視野に,捜査を継続させると見られるそうだ。
関係者によると、PCIは平成15年ごろ、同社の現地社員がベトナム政府当局者にドル建てで数千万円の賄賂を提供した疑いがあるという。
産経新聞記者の観測では、特捜部は今後、ベトナム政府当局者本人への事情聴取などの捜査協力も要請すると見られ、不透明な贈賄資金の流れの解明を進めるそうだ。
そんなに簡単に行くとは思えない。日本企業がベトナムのODA事業受注に絡んで政府の担当者に賄賂を渡すという話はかなり前から「常識」といわれていた。年度予算に計上してある、とも。
だから業界では、PCIだけが特捜の「いじめ」に遭っているのには何かしら政治的な意図が隠されているのじゃないかとの観測が走っているらしいが、検事はそんな常識を知らないから珍しがって興奮しているだけではないのか。
ベトナムはドイモイの国。経済だけは改革開放という中国と似たところがある。役人の贈賄も中国に似て「構造的」になっているのでは無いか。
<ドイモイ(ベトナム語で「刷新」の意)は、1986年のベトナム共産党・第6回大会で提起されたスローガンであり、主に経済(価格の自由化、国際分業型産業構造、生産性の向上)、社会思想面で新方向への転換を目指すものである。
市場メカニズムや対外開放政策が導入され、経済面では大きな成果をあげてきた。
ただ、共産党一党支配体制は堅持されている。 切り離せないのは、「社会主義指向型発展」の理念である。
ドイモイの思想分野の一部で、民富や強国・民主・文明社会を掲げて発展するという理念。これは中国が目指す「2050年、文明社会主義国」の系譜を辿っているという見解もある。
どちらにしても、社会主義国の官から民へ経済思考がシフトしている>。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
政府(共産党)が体制を堅持しようとすれば経済を規制して権威を示す必要に迫られる。だが、経済は生産性や利益を目指せば限りなく発展を目指し、規制を跳ね除けようとする。
そこで貧しい役人たちは賄賂と引き換えならばと規制緩和や受注の優先を匂わせる。これで成立するのが、中国とベトナムでの「構造的汚職」なのである。
汚職が構造的である以上、彼らにとって賄賂はもはや不可欠のものである。したがって東京地検の捜査協力要請に応じていたのでは大げさにいえばドイモイが潰れる。産経の見通しは楽観的すぎる。
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