18691 独墜落機の副操縦士、物静かな男だった    古沢襄

■149人を死の道連れか

【モンタバウア(ドイツ)】アンドレアス・ルビッツ氏。自ら操縦して意図的に旅客機を墜落させ、149人を死の道連れにした疑いのあるジャーマンウィングスの副操縦士は、物静かな27歳のドイツ人だった。勤め先や彼を知る人々によると、同氏はグライダー操縦と長距離ランニング競技に熱心だった。

勤務先では飛行訓練を一時休んだことがあるが、理由は説明されていないという。

フランス捜査当局は、ルビッツ氏がドイツ格安航空会社ジャーマンウィングス機を操縦し、故意にアルプス山中に突っ込んだように思われると述べている。

だが、同氏を知る人々は、フランス当局が示唆したような自殺願望のある人物には見えなかったと述べている。数年前にうつ病を一時的に経験したとルビッツ氏が話していたとのドイツメディア報道にもかかわらず、そんな人物には見えないという。
 

十代の頃に同氏が入会していたLSCベスターバルト飛行クラブで保守作業をしているペーター・リュッカー氏(64)は「彼は外向的な男ではなかった」と述べた。しかし「彼は極めて責任感が強く、(クラブに)よくなじんでいた」と語った。

墜落の捜査を担当しているフランスの検察官はこれより先、回収した音声レコーダーを分析した結果、ルビッツ氏がコックピットの内部から鍵をかけ、いったん外に出ていたベテラン機長がコックピットに戻るのを阻止したことがうかがえると述べた。

同検察官によれば、その後、ルビッツ氏は旅客機を故意に墜落させる措置を講じたもようで、死の急降下を開始した。この間、コックピットを開けろとの機長の懇願を無視し続けたという。

ジャーマンウィングスの親会社ドイツ・ルフトハンザ航空のカルステン・シュポール最高経営責任者(CEO)は、ルビッツ氏が故意に旅客機を墜落させるといった挙に及ぶことを懸念させるような兆候はなかったと述べた。

シュポールCEOは26日の記者会見で、ルビッツ氏はあらゆる飛行訓練と心理テストに合格し、何の問題も記録されていなかったと述べた。

同CEOによれば、ルビッツ氏は2008年にドイツのブレーメンにあるパイロット学校で訓練を受け始めた。1年後に数カ月間これを中断したが、その詳細は不明。ルフトハンザ関係者は、この訓練中断の理由について情報はないが、復帰後に飛行の適性試験を受けたという。

訓練の一部は米アリゾナ州フェニックスでも行われた。訓練完了後、ルビッツ氏は13年にジャーマンウィングスに入社。24日のバルセロナ発デュッセルドルフ行きの便に搭乗するまでに630時間の飛行経験があったという。シュポールCEOは、ルビッツ氏は飛行適格資格を得ており、あらゆるチェックをクリアしていたと述べた。

しかし、ルビッツ氏は数年前、訓練を一時中断したのは心理的な理由によるものだった、と友人に打ち明けていたようだ。これはこの友人の母親(氏名は明らかにされていない)が独紙フランクフルター・アルゲマイネに語ったものだ。この母親は「彼は燃え尽きたようにみえ、うつ状態だった」と述べた。

一方、ドイツのデメジエール内相は26日、治安当局はルビッツ氏とテロリズムとの関連を示すものを一切持っていないと述べた。

ルビッツ氏は14歳の頃、故郷のモンタバウアにあるLSCベェスターバルト飛行クラブに入会し、10代のうちにグライダーの操縦を始めた。同飛行クラブはモンタバウアの郊外にあり、質素ながらよく整備された建物で、格納庫やクラブルームなどがある。

前出のリュッカー氏は「彼は物静かな男だったし、注目の的になろうとするような人物ではなかった」と述べ、「ジャーマンウィングスで仕事を得てけっこう満足していた」と語った。

リュッカー氏はさらに「わたしにはパイロットになっている友人が数多くいるが、彼らは特殊な範ちゅうの人々だと思う。彼らは話す前にもう一度考え、いったん話し出すと、話す内容は極めて的確で、熟考された内容だ」と述べ、「彼(ルビッツ氏)はそうした人々の1人だったと思う」と語った。

リュッカー氏が、ルビッツ氏に最後に会ったのは昨年秋だった。飛行クラブのバーベキューパーティーの場で、ルビッツ氏はガールフレンドを連れていたという。「彼は全く正常な男だった」と、リュッカー氏は述べた。(ウオールストリートジャーナル)

 
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