19192 中国軍の実質上のトップに氾長龍(副主席)が急浮上   宮崎正広

■習近平の「軍事外交」の姿勢強調で、世界の顔になってきた

先週、ケリー米国務長官が訪中の折、中国人民解放軍を代表して会見したのは氾長龍だった。

氾長龍は党中央軍事委員会副主任で、形式上の主席は習近平だから、実質的には軍のトップである。

直前、モスクワの戦捷70周年軍事パレードへも、習近平に随行してロシア入りした。秋の習訪米でも、この氾長龍が随行(事実上は先乗り)することが発表されているほか、年内のインド訪問も予定されている。

かれはミャンマーも訪問しており、インド訪問は二回目となる。

氾長龍は軍事委員会副主任だから、許基亮と並んで実質的な軍のトップ、氾と許は、中央政治局委員でもある。

従来、軍の十名の軍事委員会メンバーのなかで明らかな団派は、許基亮、房峰輝ほかと考えられ、氾長龍は「中立だが、団派に近い」と拙著『中国を動かす百人』(双葉社)でも、指摘したが、過去二年の動きから、氾はもっとも習近平に近いことが歴然としてきた。

習近平から信頼を置かれたのは、たとえ胡錦涛による人事だったとはいえ、団派に一定の距離をおき、上海人脈の軍人とは遠い関係だったことが幸いしたといえる。

氾は1969年に入隊し、軍人として一歩一歩たたき上げ、習が福州党軍事委員会第一書記の頃からのつきあいがある。

 ▼中国人民解放軍は窯変したのだろうか?

米国国防大学の「中国軍事研究センター」フォローの黄叡雅(アレキシス・デール・ホアン)女史に拠れば「最近の中国軍は国際的な場面に頻繁に登場するようになり、そうした国際化に理解を示す軍人トップとして氾長龍が重宝され始めた」と分析している。

この黄色女史の分析は注目されている。

「軍事外交の新段階にはいった中国は外国の軍との交流(相互訪問、共同演習)を外交の根幹に位置づけており、中国の安全保障の維持に軍事外交こそが重大な役割を果たすと習近平が演説しているところからも、外交とセットになっている」

事実、中国軍の外国軍との共同軍事演習は2006年までゼロ、07年に五回行われ、2013年と14年は各々七回となった。

とくに「2014年以後は「人道支援」と「災害救助」が本格化し、MH370便の諸外国との共同捜索作戦から、アセアン、ロシア、ニュージーランドなどとの国際連携、いまでは中国軍の共同演習が、全演習の65%を占めるまでになった」(チャイナハンド、4月12日号)。

しかし、このように俄な中国人民解放軍の窯変は何時まで続くのだろうか?(註 氾長龍の「氾」には草冠。黄叡雅の「叡」は「おおざと」をとる)

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