1907 挑発的・冒険的な中国の軍拡(中) 翻訳:平井修一

米上院外交委員会でのカート・キャンベル博士の講演の抄訳を続ける。
日本の外交官は最近こう書いています。「中国の軍拡が不透明なまま現在のペースで続くならば、東アジアに関心をもつ諸国は多かれ少なかれ中国を安全保障上の脅威として認めざるを得ない。日本、米国、中国の間の三者間の安全保障対話は、そのような脅威認識を最小にする1つの方法だ」。アメリカの関与は、信用を構築し、緊張を減らすこうした努力の鍵です。これらの軍拡は何も驚くべきことではありません。列強は強い軍隊を持ちたがるもので、アメリカもこの論理を享受しているのですから。
しかし、列強はしばしばその能力をもって現状を打破しようとします。ロバート・ゲイツ国防長官は、中国軍の近代化への用心深いながらも懐柔的なアプローチをしました。彼の訪中は成功との評判をとっていますが、軍隊同士の協力の範囲を広げ、危機を回避するために米中の直接的な軍事ホットラインを確立しました。紫禁城でゲイツ長官は、協力関係を進展させる必要を強調し、それは地域でのアメリカの戦略的な目的と一致するとの見解を表明しました。訪中と米国太平洋司令部の一貫した努力は、良き役割を果たしたいという中国の意向の宣言への第一歩でした。アメリカは不確実性ではなく透明度こそが将来誤算を避けることへのキーであると人民解放軍リーダーに信じさせる必要があり、特に海軍能力ではそれが求められています。
残念なことに2007年の感謝祭では空母キティーホークの寄航が拒絶され、さらに掃海艇の活動を拒絶するという中国の決定は、北京が挑発的にふるまい始めていることを示唆しています。続く1月の宇宙衛星破壊テストの成功を含めて、これらの事件と、米国政府短期国債の大規模な買い付け、そしてペンタゴンと他の米国のコンピュータシステムへの厳しいハッキングは、アメリカに対する潜在的に冒険的な中国の軍の政策を際立たせています。個々に、これらの出来事はおそらく重要でありませんが、要するに中国の行動が変化していることを示しています。
推奨する政策:
テロとの戦いと同時に台頭する中国に耐えるというふたつの挑戦は、全く異なる努力と能力を必要とします。どちらも大きな脅威ですが、それが一緒になっているのですから圧倒的な脅威です。イスラムジハード戦士との戦いは現在のアメリカの外交政策の避けられない課題ですが、中国との関係では協力と競争の複雑なミックスで、必ずしもむき出しの敵意に変質する定めというわけではありません。アメリカの政策担当者は、近視眼的な外交政策の危険を理解し、南米から中東、アジアまでバランスある政策遂行が望まれます。
アメリカの戦略家にとり、これらの同時的挑戦に対処する方法を考慮することには慎重さを求められます。たとえば、テロとの戦いにおける中国の協力は、北京に対するアメリカの外交戦略の主要テーマであるべきです。アメリカ同様に中国にとってもジハード戦士の成功から失うものは大きいのです。東南アジアは穏健なイスラム教徒と急進的なイスラム扇動者との戦いの主要な戦場になりそうですが、中国は前者が勝つために大きな役割を担うべきです。
さらに、政策担当者は現実的かつ実際的な中国政策を明瞭に表現しなければなりません。消費者の安全から重要な景気の失速についてまで北京への高まる関心は、自由貿易協定を延期しようという議会の懐疑論者を勢いづかせています。中国の秘密主義の軍の近代化プログラムと、例えば2007年の人工衛星撃墜テストのようなあからさまな挑発は、外国の保守的な政策担当者の間に相当な懸念を引き起こしました。アメリカの戦略的な中国政策は、懐疑論者と保守派、封じ込めと協働・調和の間でバランスがとれていなければなりません。
効果的な中国政策を実施することは、北京との相互作用以上に多くのものを含みます。アメリカは貿易関連の問題について相互的な意見交換と協力に努めなければなりませんし、北京の貿易標準、知的所有権について必要な調整をさせ、中国元の再評価も求める必要があります。より重要なことは、北京とワシントンが軍隊同士の接触を促進することです。2カ国間でホットラインをつくるというゲイツ長官の前向きの決定は、アジア太平洋の全域で誤算・誤解による危険を減らすためのものです。
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