GDPの48%をしめる不動産投資、天も懼れぬ不公平な分配。中国は「革命前夜」の様相を示してきた。
それゆえに軍事的緊張を意図的に作り出す習近平政権の裏の狙いは国民の不満の行き先を「日本が悪い」とすり替える壮大な陰謀である。
冷静な報道で知られる英紙「フィナンシャル・タイムズ」には中国語版がある。その華字版がこう表現した(2月14日付け)。「軍事対峙増加中日擦槍走火風険」(軍事的対立関係は日中間の軍事衝突に陥る危険性が増している)
なにが矛盾か?
6億5000万人の農民がいよいよ政府への怒りを露わにしていることだ。政府を敵と農民が明確に認識しはじめた事実は、歴史の転換点である。
農民プロレタリアートが権力に敵対するのだ。ネットでは習近平は「ラストエンペラー」と呼ばれている。「この共産党王朝は彼で最後だ」という意味である。
不公平きわまりない分配、その典型例を「ウォールストリート・ジャーナル」が中国の不動産取引の実態のケースを検証し、克明に伝えた(2月15日付け)。
四川省成都で養魚場を営んでいた女性は、土地の収用に反対していたが、度重なるマフィアの嫌がらせに嫌気し、とうとう土地を手放した。2010年12月だった。補償金は一平方メートルあたり、僅か9元だった。
地方政府は、この土地に高級マンションを建設するとして、業者に転売した。一平方メートルあたり640元。なんと70倍強。差額は地方政府の懐に入った。
土地を買ってマンションを建てた業者は、高級住宅を売り出して一平方につき6900元という値段をつけた。この土地の価格取引はデーベースに記録されていると同紙は伝えた。
▼ジニ係数が0・62だと、革命による政府転覆は近い
四川省成都にある西南財経大学が調査した結果「ジニ係数」は0・62だった。ただちに中国国家統計局は反論し、中国のジニ係数は0・43と訂正したが、誰も信用しなかった。
なにしろ「あれは誰も信用していない」と発言したのは李克強(次期首相)その人であり、この醜態的発言をウィクリークスが暴露した。
中国のジニ係数は異常値であり、「一般的には0・4だと暴動が頻発し、0・5を越えると革命がおこる」が、すでに「革命水準」を超えて中国のジニ係数が0・6を越えているのだから、今後どうなるのか?
前述のような不公平な土地の収用は全国的規模で行われており、土地買収と土地転配との差額は日本円で24兆円前後と見積もられる。不動産投資はGDPの48%を占める。
富の偏在は、高級幹部の資金海外隠匿に繋がり、共産党幹部は海外へ逃げる準備に余念がない。革命が近いからである。
一学年700万人と見られる中国の大学新卒者にまったく就労チャンスがない。
よほどの優秀な学生しか外資系にはいれない。国有企業にはコネがないと入れない。多くは親のすねをかじるか、アルバイトで糊口をしのぎ、マンションの地下室の共同ベッド生活(これを蟻族、モグラ族という)。
まさに、この現象は学生のプロレタリアート化であり、少数の金持ちだけが冨を独占し、国家を支配するという構図はマルクスの分析通りであり、もはや中国共産党の正統性はない。学生が主体となるプロレタリアート革命がおこる懼れが強まる。
さて。実態として「中国のGDPは実質的にマイナスとなっており、表向きの発表と実態とは巨大に乖離している。最近は貨物輸送量で計るという方法があるが、アメリカの学者は偵察衛星による光の量が決めてである」と専門家はいう。
つまり光の量が低いのはモノが動いておらず、あちこちに在庫が貯まっている証拠であり、くわえて大気汚染が凄まじく、全土が「アラル海化」(湖が砂漠化)するという恐怖のシナリオが日々進んでいる。
すでに中国から「直接投資」として流れ出したカネは2011年が652億ドル、12年が688億ドル。このうち56%が一度香港へおくられ、そのごケイマン、バージン諸島へ流れ込んでいることが判明している(間接投資は含まない)。
それなのに中国へまだ進出を続ける日本企業。あのヤオハンの教訓がまったく生かされておらず、日本企業は最終的にいかなる撤退劇を演じるのか?
杜父魚文庫
11759 中国のジニ係数が本当に「0・62」なら、革命が近い 宮崎正弘
宮崎正弘
コメント
21世紀で唯一の共産主義国家である中国で、20世紀の遺物ともいえる共産主義革命が起きるとは、何とも皮肉な話ですな。